炎の一筆入魂BACK NUMBER
崖っぷちから巨人に3連勝。
広島に“飢餓感”は甦るか?
posted2019/07/22 17:30
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
徳俵に片足をかけた広島が意地を見せた。
自力優勝が消滅する可能性もあった19日から首位巨人に3連勝する粘りを見せた。3連戦のうち、2試合が1点差以内の勝利で、残り1試合も2点差以内の接戦。全3試合が逆転勝利。サヨナラ勝利もあった。
昨年のような広島が戻ってきた、と言うのは早計だろう。ただ、崖っぷちに立たされたことで、本来あるべき姿を思い出したとは言えるような気がする。長丁場のペナントレースも後半戦に入り、徐々に決着に向かう中で、純粋に「勝つ」ことへの貪欲さ、執念などが垣間見えた気がした。
勝ち続けることは、勝つことよりも難しい。
プロ野球史上最長のV9を達成した巨人を率いた川上哲治氏は「勝負に強いか弱いかは、執念の差」と言っていたという。
スモールベースボールが必要?
広島はその巨人以来のセ・リーグ4連覇を目指している。昨年までの3連覇は、厚い攻撃力を中心にした戦いでセ・リーグを独走してきた。まさに横綱相撲のような戦い方だった。
だが、今季はスタートに大きく躓き、5月に球団新の月間20勝を挙げるも、6月は交流戦で最下位となるなど急失速。一時はリーグ5位まで転落した。
前半戦で、今季は昨季の76試合よりも、8試合多い84試合を消化した。総得点は昨年の379点に対し、今季は317点。チーム本塁打数も昨季の90本から73本と減った。チーム防御率が3.45と昨年の4.08から良化しているにもかかわらず、大きく負け越したのは打力低下が一因といえる。
今季の戦力であれば、よりスモールベースボールに近い野球が必要なのかもしれない。ただ、昨季のような攻撃力を期待して進めているように映った試合もあった。チームに隙があったわけではないだろうが、今季の広島は横綱相撲では勝ちきれない厳しい現実に直面している。