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長谷部誠は安泰、大迫勇也は主力。
ドイツの日本人たちは今季どこへ?
text by

島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/07/20 11:50

ブンデスリーガのなかで最も始動が早かったブレーメン。コーフェルト監督は大迫に厚い信頼を寄せているようだ。
新チーム始動後の移籍も多々ある。
また先述したように、UEFA(欧州サッカー連盟)に属するヨーロッパ各国リーグは現在、年間2回設けられている移籍市場期間の真っ只中です。
今季のドイツは7月1日から9月2日のドイツ時間18時までで、この間に各クラブは選手を獲得できます(放出は獲得するクラブが属する国の移籍期間に則していれば可能)。従って、チームのプレシーズンキャンプが始まって合流した選手たちのなかには、新たな所属先が決まって新天地へ赴くケースも多々あります。
こんなとき、当該選手の心理状況を慮ってしまいます。新シーズンに向けて各チームがトレーニングに励んでいるわけですから、選手たちも出来るだけ早く所属チームで活動を始めたいはず。チームを率いる指揮官は今まさに所属選手たちの選定を進めているわけで、その評価がチーム内の序列となる可能性も大いにあります。
しかし各クラブの事情としては、まずは最も有望で実力ある選手の獲得を第一義に進め、他クラブへ先んじられるとか、資金的に見合わない場合にはセカンドプランへと移ります。各クラブは各所の動向を見定めているわけですから、約2カ月の移籍期間を有効活用して決断を下すわけです。
観る側も選手の“心理”を理解する。
そうなると、移籍期間ぎりぎりのタイミングで移籍が成立するケースも多々あります。お気づきのように、ブンデスリーガ1部の場合は第3節(8/30、31、9/1の分散開催)が終了してから移籍市場が閉まります。そこで各クラブは、新シーズンが開幕して数試合を消化した時点で補強ポイントを再度精査し、選手獲得を目論むことができるのです。
プレシーズンを前クラブで過ごし、そこで体力強化やチームの戦術理解を進めたなかで他クラブへ移籍し、新たな環境で活躍を期する。移籍は、その選手の能力が請われていることの証左ですが、その責任を担う選手たちの心身への負担は甚大なものと推測されます。
厳しい境遇の中で真の実力を発揮する選手が成功者として捉えられるのは世の常ですが、その前に、我々のようなサッカーを観る側は、各選手が立ち向かう様々な困難についても理解する必要があるのかもしれません。