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女子W杯優勝でアメリカに吹く風。
政治とスポーツの関係性を考える。

posted2019/07/20 11:40

 
女子W杯優勝でアメリカに吹く風。政治とスポーツの関係性を考える。<Number Web> photograph by Getty Images

スポーツと政治の関係性は、アメリカと日本で大きく異なる。参考にできる点はどこにあるのだろうか。

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 アメリカ合衆国に移住して20年以上が経ち、身の回りに公然と「同性愛」を貫く人々が増えたことで、彼らに対する考え方はかなり変わった。

 自分自身がヘテロセクシャル=「異性愛」だということもあり、本当の意味で「同性愛」やその人々に関係した問題を理解しているとは言い難いし、理解しようと努めたところで「同性愛」の人々から「お前には分からんだろ?」と言われるだろうという強迫観念みたいなものもある。

 だが、「同性愛」の友人が1人出来ただけで、自分の立ち位置はかなり変わる。

 アメリカの「Majority=多数派」、つまり、白人でヘテロセクシャルの人々は「同性愛」の人々を「Minority=少数派」と呼び、「アジア系」や「アフリカ系」や「ヒスパニック系」といった人種的な「Minority=少数派」の範疇に入れる人もいて、最初は違和感もあったのだが、それも消えつつある。

多数派に異論を唱える人が多い国。

 それは自分が合衆国で圧倒的な「Minority=少数派」になったからだけではなく、それに偏見を持つ「Majority=多数派」に対して異論を唱える人々が目立って多いからだと思う。

 彼らはたとえば、SNSに氾濫する罵詈雑言を吐く者たちとは、決定的に違う。

 まず何よりも、彼らは自分の素性を隠さない。

 彼らは多くの場合ペンネームやニックネームを使わず、自分たちがどんな問題に直面しているのかについて、強い責任感をもって発言している。

 彼らは公のメディアで自分が吐き出した言葉に対して、醜い批判や鋭い攻撃が行われることを承知の上で、普段はあまり話題にならないことや公の場ではあまり触れられることのないことについて語る。

 それは彼らが「Minority=少数派」であることや、たとえ「Majority=多数派」であっても、日々の生活の中で自らの正義や信条に反する現象が世の中で起こっていることに「間違っている」と強く感じているからだろう。

【次ページ】 サッカー女子アメリカ代表のキャプテンが。

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