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急増するJ監督の途中交代は効果的?
1試合平均獲得勝ち点を比べてみた。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byGetty Images
posted2019/07/12 11:45
2018シーズン途中からガンバ大阪のトップチームを率いる宮本恒靖監督。苦しんだチームを立て直した。
低迷に苦しんだ、ある監督の言葉。
次いで多かったのが千葉、新潟、横浜FCの4回。このうち新潟では'16年以降、毎年途中交代がくり返されている。過去の実績やネームバリューに捉われない、一味違った監督選びに挑戦しているクラブだけに、残念な気がする。反対にシーズン中の監督交代から最も遠ざかっているのは湘南ベルマーレで、'06年が最後になる。
以前、あるJリーグの監督が成績低迷に苦しんだシーズンを振り返って話していた。
「ダメなところがあると、そこを修正しようとする。そうすると、一番やらないといけないところが消えていってしまう。案外やれているなと思っているところまで、やれなくなっていく。
自分ではブレているつもりはないんだけど。負けが込んでいくと、本来最も強く取り組まないといけないところに掛ける割合とか、言葉でのメッセージとかが、どんどん減っていってしまう。できないから修正する。でも、その修正に時間を割いていくと、今度は自分たちの一番ストロングにすべきところが、ボヤけてきちゃう。そんなことを感じていた」
勝てば評価、負ければ批判の対象。
現場で指揮を執るおそらく誰もが同じような葛藤のなか、こうした微妙なバランスと向き合っているのだろう。同じような戦い方や選手起用を続けていても、勝てば「一貫性がある。やることにブレがない」と称賛される。
が、負ければ「引き出しが少ない。頑固だ」などと批判の対象になる。反対に、たとえやっていることや言っていることがコロコロ変わろうと、勝ったときには「戦い方の幅が広い。戦術に柔軟性がある」といった評価を受けることになる。
チームは生き物とは、よく言ったもので。けっして間違っていない方針で進んでいるつもりでも、一度負の連鎖に陥ると、ケガ人が続出したり、練習中でもやらないようなミスが勝負所で頻発したり、アディショナルタイムでの失点で勝点を手放す試合が連続する。