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急増するJ監督の途中交代は効果的?
1試合平均獲得勝ち点を比べてみた。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byGetty Images
posted2019/07/12 11:45
2018シーズン途中からガンバ大阪のトップチームを率いる宮本恒靖監督。苦しんだチームを立て直した。
原博実が監督だった頃の言葉。
両者だけでなく、昨年はJ1、J2、J3で起きた17回の途中交代のうち、1試合あたりの勝点が前任者を上回ったケースが15回あった。
前述したように、過去10年のトータルで64/93回だったのが、昨年だけで15/17回なのだから、とても確率が高かった。
「記者の人たちはよく、途中から試合に出た選手が点を獲ったりすると、采配ズバリとか言うけどさ。そんなの分かんないんよ~。もしその交代をしていなかったら、ベンチに下げずにピッチに残しておいた選手が、2点獲っていたかもしれないんだからさ」
Jリーグの原博実副理事長がFC東京の監督だった当時、こう言ったことがあった。雑談の延長のような柔らかな口調だったものの、示唆に富んだ指摘だったため、強く印象に残っている。
つまり選手を交代するという決断と、交代しないという判断の、重みは等しいのだ。監督交代も同様で、交代することが目的になっていたのでは本末転倒だ。
昨年のような成功がたまたま重なったのではなく、低迷の原因の正しい把握、解決のための具体的な手段、後任の人選方法や最適なタイミング……など、チーム状況を好転させるためには何をすべきかを、各クラブが何度も痛い目に遭いながら学んできたことの表れだとしたら。
シーズン途中の監督交代は、今後ますます増えていくのかもしれない。