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錦織圭のウィンブルドンは上々だ。
公式HPが日本庭園にたとえた余裕。
posted2019/07/04 10:50
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
無難に、いや、ほぼ申し分のない内容で、錦織圭がウィンブルドンの初戦を突破した。唯一、気になったのは第2セット、5-4と2セット連取に王手をかけながら、次のサービスゲームを落としたことだ。サービング・フォー・ザ・セットを意識してやや硬くなったのか、プレーが受け身になった。
決着はタイブレークにもつれたが、1-3から6ポイントを連取。セットを取った。
錦織がこの場面を振り返る。
「タイブレークは、(流れを)変えないといけない、攻めないと、と思ってプレーしていた。体力的にも、大事なところを取り切れたのはよかった」
今季は、全豪でも全仏でも、要所を締められずに長引かせ、体力の消耗を強いられる試合があった。それが四大大会での「8強止まり」の1つの要因となっているのは明らかだ。その点、所要時間2時間10分のストレート勝ちで乗り切ったこの試合には十分、及第点がつけられる。
やや強引に見える表現だけど。
ウィンブルドンの大会公式サイトは、こう書いた。
〈日本の応援団も、陽光のもとで錦織の6-4、7-6、6-4の勝利を見れば、キューガーデンズの日本庭園を散策するように心がやわらげられただろう〉
キューガーデンズとはロンドン市街地に隣接、ウィンブルドンからさほど遠くない所にある広大な庭園で、多くの市民が訪れる。
こんな比喩を持ってくるところが英国人らしさであり、ウィンブルドンの一種の気取りだろう。やや強引なこじつけで、据わりが悪いような気もするが、まあ、そういう試合内容ではあった。
初対戦のチアゴ・モンテイロは、ランキングこそ113位ながら、とにかくミスが少なく安定していた。3セットでアンフォーストエラーはわずか23本。機械のように正確なグラウンドストロークで粘り強くプレーした。それを確実に仕留めたのは、錦織の戦術の正しさだ。