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錦織圭のウィンブルドンは上々だ。
公式HPが日本庭園にたとえた余裕。 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2019/07/04 10:50

錦織圭のウィンブルドンは上々だ。公式HPが日本庭園にたとえた余裕。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

初戦を2時間10分でクリア。昨年ウィンブルドンで初のベスト8進出を果たした錦織圭だけに、今年も期待したくなる。

リスクを減らし、相手にミスを強いる。

 グラウンドストロークでは左利きの相手のバックハンドを中心に組み立て、ダウン・ザ・ラインにも積極的に展開した。ネットプレーやドロップショット、さらにサーブ&ボレーを5度成功させるなど、得点のバリエーションは豊富だった。

 スタッツで目立つのはモンテイロのフォーストエラー、すなわち錦織のショットに強いられたミスが44本もあったことだ。錦織の攻撃が機能し、ラリーの多くの場面を支配したことが読み取れる。

 ベースラインからのウィナーは12本と案外少なかったが、むやみにウィナーを取りにいくより、リスクを減らし、相手にミスを強いるのが効率的な戦い方であり、錦織の選択は正しかった。

 ストロークで崩してボレーを決定打とする場面も多く、ネットプレーでの獲得ポイントは18に達した。

 リスクを避け、余裕を持ちながらの試合運びを日本庭園にたとえたのだとすれば、公式サイトの執筆者はなかなかの慧眼だ。

会見では大坂なおみへの気配り。

 初戦を無難に乗り切った余裕なのか、記者会見ではサービス精神を発揮した。

 前日、「泣いてしまいそう」と5分足らずで記者会見室を出た大坂なおみに話題が及んだときのこと。錦織は「かわいい女の子」でもある大坂が背負うプレッシャーを推し量り、こう話した。

「1位を守るプレッシャーは計り知れないので、しょうがないかなと思う。そのことについて話したことはないが、あまり考えないでほしい。自分が今すべきことに集中してほしい。

 1位というランキングはあるけど、周りとの勝負じゃないと思う。急に1位になったので、慣れるまで時間がかかる。まだ若いので、ゆっくりやってほしい。100%、1位の実力を持っているし、あまり気にせずやってもらいたい」

【次ページ】 重圧をやり過ごせる心の平穏。

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