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錦織圭のウィンブルドンは上々だ。
公式HPが日本庭園にたとえた余裕。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2019/07/04 10:50
初戦を2時間10分でクリア。昨年ウィンブルドンで初のベスト8進出を果たした錦織圭だけに、今年も期待したくなる。
重圧をやり過ごせる心の平穏。
自身の置かれた状況について、「トップ10の重圧にときたま悩まされることもあるが、1位と次元が違う」という言葉もあった。実際は「次元が違う」というほどではなく、彼の背負う重圧もなかなかのものだろう。
そのプレッシャーをうまくやり過ごしているから、四大大会で8強以上の成績を丸1年も維持できるのだ。
大坂は以前、「心の平穏」について記者会見で言及したことがある。それを求め、なかなか得られずに試行錯誤しているのが現状だ。
一方、錦織はすさまじいプレッシャーの中、アップダウンもありながら、なんとかそれを保っている。見る者の「心をやわらげる」ような試合を披露し、その後の記者会見でも、まさに公園の陽だまりのような穏やかさと後輩への気づかいを見せる。29歳の貫禄だろう。
この落ち着いた試合運びをどこまで続けられるか。2回戦では地元イギリスのキャメロン・ノリーと初めて対戦する。試合はセンターコートに組まれ、観客の声援は相手に集まると思われるが、錦織はそのことで心の平穏を乱すような選手ではない。