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錦織圭がウィンブルドンの芝を攻略。
順当なら準々決勝でフェデラー戦。
posted2019/07/08 11:45
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
1、2回戦に続く快勝だった。
ウィンブルドン男子シングルス3回戦、第8シードの錦織圭は現在世界ランキング71位ながら、自己最高は21位の実力者スティーブ・ジョンソン(米国)を問題にせず、4回戦に進出した。
反省すべき点はほとんどない試合だったが、その中でも特に強い印象を残したのは、圧倒的優位の状況でまったく集中力を落とさなかったことだ。
第1セットは0-3の立ち上がりから5ゲーム連取で形勢を逆転させた。
サーブとリターンが好調で、その後も危なげない試合運びだった。
ジョンソンの武器であるファーストサーブをきっちり返し、セカンドサーブには攻撃的なリターンを見舞った。ストローク戦ではフォアハンド、バックハンドとも隙がなく、相手にミスを強いる場面が目立った。
勝利が近づいても気をゆるめず。
2回戦では中盤から「ミスなくプレーできそうな感覚」があったというが、その好感触が続いているように見えた。
武器を消され、一方的な攻撃にさらされたジョンソンにしてみれば、第2セット序盤くらいから打つ手がなくなり、リスクのあるショットに活路を求めるしかなくなった。
錦織は、たとえ惰性でゲームを進めても負けることはなかったはずだ。それでも、少しも気をゆるめなかった。
不本意なミスをおかすと「そうじゃないだろ」というように顔をゆがめ、瞬時に修正を図った。ふっと気がゆるみそうになる自分を叱咤していたのだろう。ストレート勝ちの結果より、その姿勢がなにより素晴らしかった。