【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
スポーツとビジネスは衝突するか。
変化を起こすための絶対条件とは。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byKyodo News
posted2019/07/05 08:00
盛況が続く横浜スタジアムでのベイスターズの試合。様々な改革がチームの人気向上を生んだ。
軋轢や毀誉褒貶の世界を覚悟して。
私が就任した頃は“ドーム構想”が横浜にベイスターズとは関係なく声高に存在していたのですが、調べれば調べるほどファン、横浜、横浜の野球、そしてベイスターズにとってあのスタジアムがどれだけ大切かがわかり、建て替えや移転をしないだけではなく、徹底的に歴史を含めて大切にし、それらを軸に進化させる、「守る」という確固たる強い方針を定めました。
同時に、それ以外のことは実はすべて変えてしまってもいいのではないか、むしろ変えなければいけないことが山ほどある、と腹を括りました。既成概念や非常識に挑戦して、それらを新たな常識にしてしまうくらいのブレない方向性と確信をもって。軋轢や毀誉褒貶の世界を覚悟して、です。
変化すること自体を警戒する人も。
大きいところではチームのコンセプトそのものから、チームのロゴ、カラー、ユニフォームまで。
スタジアム座席の色をチームカラーの青にしたり、ファールグラウンドにエキサイティングシートを新設したり、トイレの内装をきれいにしたり、というハード面はもちろんのこと、チケットの売り方や広告戦略、プロ野球の試合がある朝の時間帯にスタジアムをキャッチボールできる場所として開放することで、ファンと新しい関係性を築いていくといった、あらゆるものを変えました。
タブー視されていたイニング間の選手たちのキャッチボールの時間に、グラウンドにファンを入れて、「ドッカーン! FLYCATCH」というイベントをやったり、ありとあらゆるパラダイムシフトに挑戦し続けてきました。
もちろん、反発もありました。人は基本的に変化を警戒しますし、弱い時期もずっと応援してくれていたファン、ライトスタンドで熱心に応援し続けてきてくれた熱烈なファンの方々からは特に、変化すること自体に対して、最初は警戒と抵抗に満ちたお声を多数いただいたことを思い出します。