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チリ戦とウルグアイ戦で森保Jに変化?
トルシエ「選手は限界を超えていく」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byAlessandra Cabral/Getty Images

posted2019/06/24 17:30

チリ戦とウルグアイ戦で森保Jに変化?トルシエ「選手は限界を超えていく」<Number Web> photograph by Alessandra Cabral/Getty Images

三好康児がウルグアイ相手に2得点を決めてみせた第2戦。岡崎慎司もベテランらしいプレーでチームに安定をもたらせた。

「日本はまるでKO勝ちだけを目指すボクサー」

「日本は自分たちが作り出したテンポに自ら翻弄された。それはとても攻撃的なテンポで、チリ戦はそうであるがゆえにゲームのコントロールが難しかった。日本の唯一のコンセプトがノックアウトだったからだ。日本はまるでKO勝ちだけを目指すボクサーのようだった。

 プレーの限られたスタイルから、必然的にこのチームはそういう戦略をとらねばならず、判定勝ちを目指すボクサーのそれとは異なっていた。KOはチームの哲学であり第一の目的でもあるから、KOできなかったときには必然的に勝利も遠のくし、一方的に危機的な状況を迎えることになるわけだ。

 それが私がこのチームに対して感じた印象だが、決して彼らを(否定的に)批判しているわけではない。今の日本のスタイルは『選手に自らの限界を超えることを求めるスタイル』でもあるからだ。持てる力のすべてを発揮しつくして新たな自分を発見する。そして新しい自分を構築する。そのためには自分の限界を超えねばならない。それがこの2試合で起こったことだと私は見ている」

決勝T進出は「二義的な目標」。

「選手は誰も計算ずくのプレーをしてはいない。何のコンプレックスも抱くことなく持てる力のすべてを注ぎ込んでいる。また日本はフィジカル面でもしっかりと準備ができていた。運動能力の面でもだ。何の躊躇もなく戦っているし、戦いにも応えているように見える。

 本当に実り豊かな大会で、注目すべき要素がたくさんある。日本がしっかりと仕事をしているのは間違いない。将来に向けて自信を得るために、ここで南米諸国との比較をするのは悪いことではない。

 結果もそう悪くはない。引き分けたことで、準々決勝進出の可能性が残ったからだ。たしかにそれは二義的な目標であるのだが、それでもリーグ突破の可能性が残ったのは選手のモチベーションを高める。自分たちの努力が報われるかもしれないと思えるのは大きなことだ。

 もうひとつ忘れてならないのはこのチームはB代表であることだ。

 ワールドカップとはメンバーが完全に入れ替わったチームだ。それは五輪世代の潜在能力の大きさを示していて、そういう意味ではこのグループはほぼ完ぺきとも言える。私は日本に強い印象を持ったし、日本は素晴らしい仕事をして日本サッカーのいいイメージを世界に与えることができた」

【次ページ】 チリ戦もウルグアイ戦も、日本に違いはない。

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