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石川祐希の進化、差を埋める術。
NLで2敗も日本男子バレーに兆し。
posted2019/06/17 11:15
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Itaru Chiba
暗転したコートにそれぞれの国旗の色が彩る光と音楽を使った試合演出は、五輪仕様を思わせる、これまでを遥かに上回る華やかさ。
“東京五輪が間もなく始まる”。
6月7日から9日まで武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された、バレーボール男子ネーションズリーグ東京大会は、まさにそんな、来る五輪への期待が高まる大会となった。
1勝2敗なのに期待とは、何と甘いことか。そう見る人もいるかもしれない。確かに初戦のアルゼンチンには快勝したが、2戦目のブラジル、3戦目のイランは完敗だった。結果だけを見れば、確かに「期待」より「課題」、「不安」だろう。そう言う人も少なくないことを承知で言おう。
ようやくここまで来た。
悲観することなどない。男子バレー日本代表は今、確実に前へ進んでいる。
日本男子バレーの成長とは?
2年前の2017年に中垣内祐一監督体制がスタート。初年度はミドルからの攻撃本数を増やすことを課題に掲げた。
そして2年目の'18年はミドルの攻撃と同じテンポのバックアタックを積極的に使う。その時々に掲げる戦術が変わるのではなく、選手に要求する項目は一貫して徹底させた。その成果は実戦の中でも実を結び、昨年のネーションズリーグでは手応えを感じられる試合も多かったが、昨年一番のターゲットであった世界選手権は2勝3敗で第1次ラウンド敗退。残念ながら未だ、結果は伴っていない。
それでもなお、期待を持てるとか、前に進んでいると言える理由は何か。
昨シーズン世界選手権に出場し、ネーションズリーグ東京大会の3戦すべてでスタメン出場したセッターの関田誠大はこう言う。
「日本のバレー自体が、つながってきた感じがすごくあります。たとえばセッターにしても、(国内の)リーグからクイックとパイプを試合の中でうまく使った人が残っている。それがチームの強さで良さだと感じているからだと思うんです。
ただ、それでもまだ日本のクイックに対してはリードブロックで対応されているし、そこまで警戒も強くない。だからこそもっと使って行かないといけないし、パイプも、サイドアウトでもラリー中でも普通に1つの攻撃の選択肢として使って行きたいです」