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石川祐希の進化、差を埋める術。
NLで2敗も日本男子バレーに兆し。
 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byItaru Chiba

posted2019/06/17 11:15

石川祐希の進化、差を埋める術。NLで2敗も日本男子バレーに兆し。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

ネーションズリーグ東京大会初戦のアルゼンチン戦で28得点を挙げ快勝の原動力になった石川祐希。

石川の成長を感じるセッター深津。

 '14年に代表へ選出されて以後、石川は常にチームの中心選手でありエースであることに変わりはない。だが振り返れば、1シーズンをベストコンディションで戦い続けられたことはなく、昨秋イタリアとブルガリアで開催された世界選手権も満足には程遠い結果で閉幕した。

 悔しさや屈辱も糧に、変わる、変わらなければならない、という覚悟。

 石川の変化を、'14年から共に日本代表でプレーしたセッターの深津英臣はこう言う。

「今までも1人の選手としてはもちろんすごい選手ですけど、今年は『自分が引っ張る』という気持ちが前面に出ています。スタッフとのコミュニケーションも積極的に取って、主張するべきところはする。なおかつ試合の中でも今までは悪くなるとそのまま崩れてしまっていた場面でも、パスが崩れないように自分でコントロールして、崩れても次のスパイクに集中して打つ。練習から高いレベル、高い集中力でやれているから、試合の競った場面でも練習通りやれている。

 それは世界へ行って、試合に出続けて自信を得て変わったところだと思うし、彼自身の覚悟なんだと思います」

「結局、石川」が今後の課題。

 とはいえ相手も、日本が成長を遂げれば、それを上回るスピードで対策を打ってくる。

 サーブでミドルやバックアタックが使えない状況を強いられ、石川の対角に入るアウトサイドヒッターをサーブで狙い、攻撃に入らせず、石川へのマークを手厚くする。

 石川同様に世界トップリーグのポーランドでプレーするリベロの古賀太一郎が「石川がアルゼンチン戦と同じようにいつも決まれば勝つのは簡単。でもキープレーヤーをそのままにするほど世界は甘くない」と言うように、満を持して「最後に石川」ではなく、打つ手がなく「結局、石川」という状況が目立ったブラジル戦、イラン戦はその象徴とも言える試合だった。

 そしてもちろんそれは、石川自身も理解している。

「シャットやミスが続くとこちらの選択肢も減ってしまうので、常にミスなくいくのがベストです。でも対応された時にどうするかといえば、やはり打てる人が打つしかない。こちらがいい状況で攻撃するのも大事ですけど、次のステップとしてどれだけ相手が嫌な状況にするか。相手が日本に対応してきたということはそれだけ1つ成長していることだと感じますし、相手が対応してきた時にどうしていくかがこれからの課題だと思います」

【次ページ】 変化を求めたイラン、変わらない日本。

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