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石川祐希の進化、差を埋める術。
NLで2敗も日本男子バレーに兆し。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2019/06/17 11:15
ネーションズリーグ東京大会初戦のアルゼンチン戦で28得点を挙げ快勝の原動力になった石川祐希。
主導権を握るサーブと組織的な守備。
常套句のように言われる「高さ」や「パワー」だけで勝敗が決するなら、当然ながら日本は世界にかなわない。ならばその差を埋め、勝利するためにどうするか。
石川祐希や柳田将洋、西田有志のように攻撃力の高いアウトサイドヒッター、オポジットを擁するとはいえ、そこだけに攻撃が偏れば当然封じられる。得点チャンスを広げるためには、大前提になるのはサーブで主導権を握り、相手の攻撃を絞らせ、ブロック、レシーブで組織的なディフェンスを構築する。
そこから相手ブロッカーより上回る攻撃枚数を揃え、数的優位な状況から同時に攻撃を展開するのが理想であり、勝負所でより石川や西田を有利な状況で攻撃させるためのカギとなるのがクイックであり、バックアタックだ。
実際に、アルゼンチン戦ではミドルブロッカーの李博を前半から多く使い、サイドのみならず石川や柳田のバックアタックも絡める。それはチームとして取り組み続けて来た成果であるのは間違いない。
石川祐希が見せた圧巻のプレー。
加えて、収穫という点では東京大会では圧倒的な存在感を発揮した石川の成長も大きい。
攻撃は偏らずに万遍なく、と言いながらチーム最多の28点を叩き出した石川のパフォーマンスを称えるのも矛盾しているように感じられるが、それでもなお、アルゼンチン戦で見せた石川のプレーは圧巻だった。
いいサーブをただ思い切り打つというのではなく、どのコースに打つかを狙って、いいサーブを打つ。試合開始早々からサービスエースで得点を重ね、前衛、後衛、コートの至るところから攻撃に参加し、相手ブロックが2枚揃っても叩き込む。
ただ決めたからすごいというわけではない。その姿からは、明らかな進化が感じられた。