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「惜しかった」のか「完敗」なのか?
U-20W杯、影山ジャパンの最後の屈辱。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byFIFA via Getty Images
posted2019/06/05 17:30
韓国に負けた直後の日本代表の風景――U-20代表とはいえ、日韓戦という伝統の一戦に負けた衝撃は小さくない。
完全に守りに入った韓国代表。
30分を過ぎると、韓国はさらにラインを下げ、センターライン付近でのボール回しには一切食いついてこず、見た目はほぼワンサイドゲームになっていった。だが、日本代表としても全員が「これでいい」と意思統一はできていたはずだった。
宮代が何度も守備ラインの裏に潜り込み、鈴木冬はアーリークロスを狙い、菅原はクサビのパスを打ち込み続けたが……崩しきれず。
前半唯一のビッグチャンスは44分頃。宮代が左サイドを突破してマイナス折り返しとなるパスから始まった流れ。そのプレーは敵GKを完全に揺さぶりきっていて、最後は中央で西川がゴールに押し込もうとしたのだが……ギリギリでDFに身体を寄せられ、クリアされてしまった。
結局、前半を0-0で折り返したことで、韓国に勝利への希望を与えてしまった。
ボールポゼッション率は日本が72%、韓国が28%と日本が圧倒しているように見えるが、日本はシュート4本で枠内ゼロに終わっていた。
前述したように前半無失点で抑えたかった韓国が、まんまとその計画を完遂した形となった。韓国は中3日での試合であるため、前半に少しでも体力を温存しておこうという狙いがあり、そのプラン通りだったわけだ。
VARの末のオフサイド判定。
後半、韓国のフォーメーションは日本と同じ4-4-2のボックス型となっていた。
前線に張る193cmのFWオ・セフンをターゲットに縦に速いサッカーに切り替えてきていた。
さらに右サイドにドリブラーのFWオム・ウォンサンを置き、セカンドボールをスペインのバレンシアでプレーするMFイ・ガンインやボランチのキム・ジョンミンなどが拾って、それをオム・ウォンサンに繋いで右サイドを軸に切り崩していく戦術を取ってきた。
明確な狙いをもって戦術変更してきた韓国のサッカーに対し、日本は動けず。
52分には右FKの展開から、齊藤のロビングを宮代がシュートまで持ち込んだが、GKがこれを弾く。さらにそのこぼれ球を郷家が押し込んで日本が先制したかに見えたが……VARの末にオフサイドの判定となってしまった。
後半の立ち上がりこそチャンスを作れたが、これ以降は試合は徐々に韓国ペースになっていった。
韓国はロングボールとドリブルを融合させ、オープンな展開に持ち込むと、徐々に日本の選手の足が止まり出し、中盤が間延びしていったのだ。