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「惜しかった」のか「完敗」なのか?
U-20W杯、影山ジャパンの最後の屈辱。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byFIFA via Getty Images
posted2019/06/05 17:30
韓国に負けた直後の日本代表の風景――U-20代表とはいえ、日韓戦という伝統の一戦に負けた衝撃は小さくない。
この試合最大のチャンスは78分に。
中盤にスペースができた事で、ずば抜けたテクニックを持つイ・ガンインが躍動し始め、オム・ウォンサンと高い位置でボールを収めては、周りを押し上げる時間を作り、2次・3次攻撃を繰り出し始めていた。
ここが勝負どころと見た韓国は、63分にFWチョン・セジンを投入。この交代が功を奏した韓国は、その直後の67分に、FKからのイ・ガンインのクロスで、DFイ・ジェイクがゴールを襲う流れを作っている。この時は、からくもGK若原のファインセーブで食い止めたのだが。
苦しい流れになっていた日本は68分に郷家に代えて、FW中村敬斗を投入し、中村の個の打開力で活路を見出そうとしていた。
71分に左CKを得ると、藤本のキックをファーサイドで受けた宮代が折り返し、中村がドンピシャヘッドを放ったのだが、これは韓国GKイ・グァンヨンのビッグセーブに阻まれている。
そして78分に、この試合最大のビッグチャンスを迎える。
左サイドを崩し、最後はボックス内右で中村が仕掛けて、強烈なシュート。これを韓国DFが身を挺してブロックすると、跳ね返ったボールを宮代が右足一閃。シュートはGKを破ったが、ゴール左ポスト内側に当たると、そのままゴールの外に弾き飛び、結局クリアされてしまった。
悪循環に陥り、漂い始めた嫌な雰囲気。
前半よりも決定機は作れていたのだが、決めきれない――。
かと言って、試合全体が前半のように日本ペースになっているわけではなく、むしろ韓国のペースで試合が進み始めている。日本の選手は、攻撃の手応えをつかみきれないままプレーをしているように見えた。
韓国の仕掛けに単発でリアクションするだけで、連動しない守備。
前からはめていく積極的な守備も、ラインを上げることもままならず、セカンドボールを前向きに拾われ、ボールを動かされたり、深い位置まで運ばれてしまう。
ズルズルと悪循環に陥り、漂い始めた嫌な雰囲気。それが84分に形となって現れてしまった。
ペナルティエリア内左に潜り込むようにドリブルをしてきたMFチョン・ホジンに対し、菅原が身体を入れて奪い、ボールを繋ごうとするも、DFチェ・ジュンに渡ってしまう。フリーのチェ・ジュンは右足でクロスを送り込むと、オ・セフンが正確に頭でゴール右隅に流し込んだ。