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「惜しかった」のか「完敗」なのか?
U-20W杯、影山ジャパンの最後の屈辱。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byFIFA via Getty Images
posted2019/06/05 17:30
韓国に負けた直後の日本代表の風景――U-20代表とはいえ、日韓戦という伝統の一戦に負けた衝撃は小さくない。
影山ジャパン、U-20W杯最後の試合に。
結局、均衡を崩したのは韓国だった。
1点のビハインドを背負った日本は、88分に鈴木冬からFW原大智、藤本からDF東俊希と2枚替えをして反撃に転じようとするが、韓国は日本のプレスの緩さを逆に利用してテンポの良い攻撃を仕掛け続けた。
後半アディショナルタイム3分。日本がラストプレーとなる左CKを得て、GK若原もゴール前に飛び込んだが、結局日本のファールとなった瞬間にタイムアップ。
影山ジャパンのU-20W杯はベスト16で幕を閉じた。
「僕らが負けた。それだけです」
最後の戦いとなった日韓戦は、巧妙な戦略を終始徹底した韓国の前に敗れる形となった。
日本も相手の意図は分かっていた。だが、いくら前戦から中5日空いていたとはいえ、大会のキーマンとなっていた田川と斉藤の負傷離脱、そして藤本、郷家、宮代らが大会途中で別メニューになるなど、その快進撃の裏側で選手たちの体調も崩れつつあったのだ。影山監督としても頭を抱えるしかないアクシデントも多発しており、ベンチワークにも大きな影響を与えていた事実だけは、どうしても伝えておきたい。
苦しい台所事情の中で、時間が経過するごとにズブズブと沼にはまっていくように、相手の分かりやすい狙いにハマっていき、その流れを反転させるだけの手も無かった。
「ゴールを取った韓国が勝って、取れなかった僕らが負けた。それだけです」
試合後のフラッシュインタビューでキャプテンの齊藤は、こう語っている。
彼らにとっては、この現実をいかに受け止め、悔しさを次のステージで生かすことができるのか――それが一番大事なことなのだ。
単純に「惜しかった」とも「まったくダメだった」とも言えない、複雑な気持ちが彼らの心の中にきっと残っているはずだ。
その気持を大事にして欲しい。
今大会の結果の全てが、彼らの未来につながる大事な糧なのだから。