“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯初戦で南米得点王を封殺。
CB瀬古歩夢に漂うリーダーの風格。
posted2019/05/24 11:45
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Daisuke Nakashima
エースを封じる大役を任された男は、時間が経つごとに集中力を研ぎ澄ましていった。
U-20W杯の開幕戦、南米王者のU-20エクアドル代表と対戦したU-20日本代表。CBとして先発した瀬古歩夢(セレッソ大阪)は、南米予選の得点王で、相手のエースストライカーでもあるレオナルド・カンパーナ(バルセロナSC/エクアドル)を封じ込めるタスクを背負い、初戦のピッチに立った。
カンパーナは187cmの高さを誇りながら、俊敏性とテクニックを持ち合わせた、世界が注目するストライカーだ。カンパーナを頂点に4-2-3-1の布陣で臨んできたエクアドルは、左サイドバックのディエゴ・パラシオス(ヴィレムII/オランダ)の攻撃力を引き出し、中央にカンパーナがシュートエリアに飛び込んでいくサッカーを展開した。
我慢の時間が続いた初戦。
「(最終ラインでコンビを組むヴィッセル神戸・小林)友希と、カンパーナに対してチャレンジ&カバーで抑えれば、決定的なシーンは作られないだろうと考えていた。
相手ボールのとき、カンパーナは僕からちょっと離れた位置でボールを受けようというポジショニングを取っていた。それに対して、(最終ラインは)CBとサイドバックでラインをそろえながら、僕は彼がサイドに流れた時に、中に入る斜めのランニングは絶対にやらせてはいけないと警戒していた」
瀬古はマークとカバーリング、ラインコントロールとビルドアップ……と、難しいタスクをすべて遂行すべく、集中力を研ぎ澄ませていた。
日本は初戦の硬さもあってか、前半はチーム全体の動きが重く、パスが思うように繋がらない。攻撃にリズムが生まれず、苦しい展開となった。その雰囲気を敏感に察した瀬古は、小林とともにラインを深く設定。あえて“我慢の時間”を選んだ。
「正直、ボールホルダーに対してもうちょっと行けたら、もっといい形でボールを奪えて、ショートカウンターができたと思うのですが、全員で1回リトリートして、ブロックを作ろうとした」