“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯初戦で南米得点王を封殺。
CB瀬古歩夢に漂うリーダーの風格。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byDaisuke Nakashima
posted2019/05/24 11:45
背番号4・瀬古歩夢を中心に南米王者をOGの1失点で抑えたU-20日本代表。開幕戦で貴重な勝ち点1を掴んだ。
ハーフタイムに飛んだ檄。
15分、ダブルボランチが2枚とも前に出た瞬間、慌てることなく中央にスペースをつくらないようにポジションを埋め、リスク管理を選択した。「ボランチが全員前に行って、あそこの位置が空いてしまうのはサッカー的にあることなので、いかにそこでリスクを考えてプレーできるか。1トップのカンパーナを僕と友希で挟み込むようにしてチェックしようと冷静に判断できた」と、託された仕事を頭から離さずに対応した。
日本は前半終了間際にFKからオウンゴールを献上し、1点のビハインドを背負ったが、後半になると流れを自分たちの手で引き寄せた。
「ハーフタイムに影山(雅永)監督から『今まで自分たちが積み上げてきたものがこれなのか』と声を荒げて言われました。自分たちも前半のサッカーにストレスを抱えていましたが、一番ストレスを感じていたのは影山監督だと思う。あの檄で、僕たちもスイッチが入った」(瀬古)
瀬古を中心にカンパーナを封じた日本。
後半最初のチャンスを日本が作り出すなど、息を吹き返した日本は、51分にMF郷家友太(ヴィッセル神戸)のハンドでPKを与えてしまうが、これをGK若原智哉(京都サンガ)がビッグセーブ。ここからチームは勢いに乗っていく。
前がかりになるアタッカー陣に対し、瀬古は積極的なラインコントロールでサポートし、68分にはゴール前の混戦からMF山田康太(横浜F・マリノス)が同点ゴールを挙げ、試合を振り出しに戻した。
その後もカンパーナに対しても警戒を緩めることなくプレーをし続け、1-1のドロー決着。南米王者相手に貴重な勝ち点1を掴み取った。
「(カンパーナに)得点はさせなかったですし、この試合に関してはエースを止めることができたという手応えを感じています」
試合後、瀬古はこう感想を口にした。