沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
「無敗のオークス馬」は過去4頭だけ。
絶好枠13番のラヴズオンリーユーは?
posted2019/05/18 09:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
平成最後のクラシックとなった皐月賞を、サートゥルナーリアが無敗で制した。令和最初のクラシックとなる第80回オークス(5月19日、東京芝2400m、3歳牝馬GI)も、無敗馬が頂点に立つのだろうか。
そのチャンスを有する馬はただ1頭。新馬、白菊賞、忘れな草賞と3連勝でここに来たラヴズオンリーユー(父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)である。
もし勝てば、1943年クリフジ、'46年ミツマサ、'57年ミスオンワード、2006年カワカミプリンセスに次ぐ13年ぶり、史上5頭目の「無敗のオークス馬」となる。
ちなみに、「無敗のダービー馬」は'06年のディープインパクトまで10頭出ている(前出の牝馬クリフジも)。うち6頭が皐月賞も制した「無敗の二冠馬」だ。が、前記の無敗のオークス馬のうち桜花賞も勝った「無敗の牝馬二冠馬」はミスオンワードのみ。
牝馬のほうが、牡馬より無敗馬が出現しづらいのはなぜか。
2400mと突出して長いオークス。
ただでさえ牝馬は繊細なことに加え、難しい思春期に相当する3歳春は、心身ともに不安定になりがちだ。自身が力を出し切れないこともあれば、他馬がいきなり大駆けすることもままある。
また、前哨戦を含めた牝馬クラシック路線において、オークスだけが2400mと突出して距離が長い。スピードを武器に連勝してきた馬が、距離適性の差で負けてしまうことがよくある。逆に、2400mのオークスで強さを発揮するタイプの馬は、桜花賞までの短距離戦で取りこぼすことが多い。
1984年のグレード制導入以降、13頭の無敗馬がオークスに参戦したが、勝ったのはカワカミプリンセスしかいない。
敗れた馬のなかには、「無敗の桜花賞馬」だったアグネスフローラ('90年、2着)、シスタートウショウ('91年、2着)、ダンスインザムード('04年、4着)といった女傑もいる。
かくも、無敗でオークスを勝つのは難しいことなのだ。