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「無敗のオークス馬」は過去4頭だけ。
絶好枠13番のラヴズオンリーユーは?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/05/18 09:00
ラヴズオンリーユーの過去3戦はすべて関西。初の東京遠征がGI、史上5頭目の快挙はなるか。
直近の「無敗のオークス馬」の系譜。
直近の「無敗のオークス馬」カワカミプリンセスは、父キングヘイロー、母タカノセクレタリー(母の父シアトルスルー)という血統で、三石川上牧場の生産・所有馬だ。
同牧場は1988年に創業され、代表は上山浩司氏。主な生産馬に'98年の神戸新聞杯を勝ったカネトシガバナー、'02年の京王杯スプリングカップを勝ったゴッドオブチャンスなどがいる。
牧場名の「川上」は、人名ではなく、旧三石町(現新ひだか町)の川上地区から取ったのだという。繁殖牝馬3頭から始め、カワカミプリンセスがオークスを勝ったころには20頭近くになっていた。
カワカミプリンセスの母タカノセクレタリーは、米国キーンランドのセプテンバーセールで購入した。競走馬としては未勝利に終わったが、繁殖牝馬となった同馬を西浦勝一調教師が気に入り、産駒すべてを預かることになった。初仔と2番仔は未勝利だったが、3番仔のカワカミプリンセスが大きな仕事をしてくれた。
調教師と騎手にとって悲願だったオークス。
カワカミプリンセスの父キングヘイローは、前述した、三石川上牧場生産のカネトシガバナーが勝った神戸新聞杯で3着だった。その2年後の高松宮記念でGI初制覇を果たし、'01年から種牡馬となる。上山代表は現役時代から好印象を抱いており、大きめの仔を出す肌馬に、小さめの仔を出すこの種馬はいいし、種付料も手頃だったので、配合相手に選んだという。
カワカミプリンセスを管理した西浦調教師と主戦騎手だった本田優(現調教師)のコンビは'01年、テイエムオーシャンで桜花賞を勝っている。次走のオークスでも1番人気に支持されながら、道中、掛かってしまい、3着に敗れた。2人で何としてもオークスを獲りたい、という気持ちは強かったはずだ。
カワカミプリンセスは、6月5日という遅生まれで、デビューが3歳時の2月26日と、桜花賞までひと月半もなかった。それもあり、オークスを最初の大目標に据えることになったのである。