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2019年ドラフトの上位12人・前編。
最上位は佐々木・奥川ら高校生投手? 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2019/05/09 07:00

2019年ドラフトの上位12人・前編。最上位は佐々木・奥川ら高校生投手?<Number Web> photograph by Kyodo News

163kmを記録した佐々木朗希と並び、奥川恭伸も1位指名が確実視されている。高校生投手のドラフトになりそうだ。

星稜・奥川恭伸にも1位指名が集まりそう。

 そういう意味で、すでに「怪物」に近い存在になっているのは、星稜高・奥川恭伸のほうであろう。この2人の高校生右腕に「1位入札」の多くが集中すると見ている。

 奥川恭伸は、学校のグラウンドのブルペンで投げているような“日常感”で甲子園の大舞台のマウンドをつとめている姿を、すでに何度も見せてくれている。この経験値は大きい。

 プロの食事とトレーニングで1年体を作れば、コンスタントに150キロ前後をマークしそうなパワーに加え、タテ・横のスライダーにフォーク、チェンジアップに100キロ前後のカーブ……おそらく4種類から5種類の変化球を手の内に入れ、その中からいつも2種、3種の飛び道具を用意して試合に臨む実戦力。

 高校生ルーキーに付き物の「自滅」という危なっかしさがなかなかイメージできないのも、奥川恭伸の才能の一端を表していよう。間違いがないのは「奥川」のほうかもしれない。

高校生投手からあと2人が名乗り。

 奥川恭伸と同様に、すでに甲子園の大舞台で大器の片鱗を見せてくれている横浜高・及川雅貴と創志学園高・西純矢……左右の快腕候補が、これに続く。

 どちらも未完の大器には違いないが、奥川恭伸のように1年間の長きにわたってよい状態を継続している信頼感は乏しい。

 西純矢は昨夏の甲子園での16三振奪取の快投は記憶に鮮やかだが、よい状態の時期が短く、及川雅貴は投げる試合によって調子の波が大きい状態が続く。

 いかにも、成長途上の若者の典型的な症状だが、持っている最大値には、やはり目がくらむ。現状、「1位候補」からは外せない。

 4人の高校生の剛腕、快腕。その間に割って入ってくる勢いなのが、大学球界から明治大・森下暢仁だ。

 大分商高の3年時にもドラフト上位候補に挙げられた本格派右腕だったが、「進学」を選んでよかったのではないか。薄っぺらだったユニフォームのシルエットも厚みを増して、特に今年になってガラッと変わった。

「キャプテンになった途端に変わった。自覚も増したし、チームメイトにも厳しく当たるようになったぶん、自分にも厳しくなった。去年まではいいもの持っていながら、実戦になると今ひとつはっきりしなかった。変われるんなら、もっと早く変われよ! って話ですよ(笑)」

 チーム関係者の信頼も変わってきている。

 145キロ前後の速球だって、さらに速く見せようとしなければ上では通用しない。

 体感スピードを上げるための緩急を意識するようになって、実戦での勝負強さが変わってきたという。「勝てる投手」という切り口で見れば、この森下暢仁が現状、候補たちの中で頭ひとつ抜けているとみる。

【次ページ】 大学球界屈指のストレートを持つ男。

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