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Bリーグ最高勝率から悲願の頂点へ。
ジェッツが3年間で得たものは……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2019/04/26 08:00
4月14日にアルバルク東京戦を制し東地区優勝を決めた千葉。CSの初戦は4月27日、ホームの船橋アリーナで行われる。
課題は苦境に陥った時の姿勢だった。
思い出したのは日本代表のフリオ・ラマスHCの言葉だ。21年ぶりとなる自力でのW杯出場権を手にした指揮官は、強いチームになるために「絶対に必要なもの」として「レジリエンス」(病気や苦難から回復する力)を挙げていたが、今のジェッツにもそうしたものが生まれつつある。
ジェッツには、初年度から優勝するポテンシャルがあった。天皇杯では現在3連覇していることからも明らかだ。
彼らの課題は、本来の力が出せないときの戦う姿勢にあった。
Bリーグ初年度には9連勝してレギュラーシーズンを締めくくり、1年で最も成長したチームという評価を受けてCS(チャンピオンシップ)に挑んだが、栃木ブレックスとの準々決勝では選手同士がコート上で口論するような場面も生まれ、GAME2では22点のリードをひっくり返され、涙を飲んだ。
2年目となる昨シーズンも激戦の東地区の首位のチームとして、東地区2位のアルバルクとのファイナルに挑みながら、1年を通して最大となる25点ものビハインドとともに敗れ去った。
「悪いときこそ、話し合え!」
では、彼らはどう課題を克服して、確かな進化を遂げたのだろうか?
チーム最年少の原修太は、胸を張ってこう言う。
「この3年間、大野さんからはずっと『悪いときこそ、きちんと自分たちで話し合え!』と言われてきました。今シーズンはより一層、みんなで話し合えるようになったと思います」
確かに各クォーターの開始直前や相手のフリースローの間など、選手たちがコート上で二言、三言かわすような場面が増えてきた。3ポイント王に輝いた石井講祐も口をそろえる。
「選手から自発的に『こうしたほうがいいんじゃないか?』、『こういう場合はどうしたらいいんですか』とかHCに聞きにいくこともあります。会話のキャッチボールも増えたと思います」
その会話の意義について、こう話す。
「試合での最後の局面とか、セオリーや事前のスカウティング通りにいかないことはどうしても出てきます。だから、『相手が少しやり方を変えてきたから、こうしよう』と臨機応変な対応もできるようになりましたし、相手のあるプレーでやられたときに、次に同じような形でやられないようなことも増えたかなと思います」