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Bリーグ最高勝率から悲願の頂点へ。
ジェッツが3年間で得たものは……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2019/04/26 08:00
4月14日にアルバルク東京戦を制し東地区優勝を決めた千葉。CSの初戦は4月27日、ホームの船橋アリーナで行われる。
40分通して我慢強く戦える集団。
彼らの成長を物語るエピソードはいくつもある。
例えば、4月13日に行なわれたアルバルク東京とのホームゲームでのこと。昨シーズンのファイナルで敗れた相手に、狙いとしている攻撃はほとんど見せられず、今シーズン最少となる59点しか挙げられなかった。今季平均得点は85.9点で、そこから25点以上も少ないのだから苦戦を強いられたのは明確だ。
しかしアルバルクにリードを許しながらも粘り、我慢して、戦った。王者に57点しか許さずに最終第4Qの残り53.4秒で逆転して、勝利をつかんだのだ。
ポイントガードの西村文男は慎重に言葉を選びつつ、重みのあるセリフを残すベテランだ。そんな彼がこの一戦をこのように総括した。
「40分を通して我慢強く戦うのは、すごく難しいこと。言葉にすると簡単に聞こえますが、実際にできるチームというのは、本当にわずかだと思っています。うちが(完璧に)できているというわけではないんですけど、そこに近づいているのかなとは思いますね。この体制になって3年目。1年、1年……1試合、1試合無駄にせず、全員がちゃんと考えながらプレーしている結果かなと」
大野HCが突き詰めたプライド。
ヘッドコーチ(HC)の大野篤史は、そんな選手たちの姿勢についてこう話す。
「彼らがすごいなと思うのは……僕がこの3年間ほぼホメないで、メンタル面を(成長するように)プッシュし続けたにもかかわらず、本当に強くなったことです。今では1試合を通して(プレー内容が)悪いこともほぼ、なくなりました。順位やそういうものではなくて、自分たちの持ち味、やらなきゃいけないことを本当に理解して、60試合戦ってきました」
簡単にホメたりせずに、選手と向き合ってきた理由とはこうだ。
「HCが代われば、バスケットのスタイルって変わると思うんですよ。でもバスケットのスタイルや戦術よりも、このチームに残したいものがあると思って、僕はやってきた。ジェッツの選手としてのメンタリティ、プライドを突き詰めようとしてきました。それは一朝一夕で生まれるものではない。だから彼らを常にプッシュしてきました」