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修造、ゴールボール挑戦!天摩由貴は
「視覚以外の全感覚」で勝負する。

posted2019/04/28 08:00

 
修造、ゴールボール挑戦!天摩由貴は「視覚以外の全感覚」で勝負する。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

155cmの天摩さんと、188cmの修造さん。身長差を示すために、修造さんは「失礼します」と天摩さんの手をとった。

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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Yuki Suenaga

「鈴の音がする」

 体育館の扉の前で、松岡修造さんがそうつぶやいた。良く聞けばたしかに、ボールが弾む音に加えてシャラシャラという鈴の音が聞こえてくる。

 この日、東京都多摩障害者スポーツセンターの体育館では、ゴールボール日本代表女子チームの中心選手である、天摩由貴さんが練習に励んでいた。

 天摩さんが出場した前回のリオパラリンピックでは惜しくもメダルを逃したが、2012年のロンドン大会では日本女子チームが史上初の金メダルを獲得。檜舞台で輝いた彼女たちの笑顔を憶えている方も多いだろう。

 ゴールボールは視覚障害者のための競技で、種目は男女ともに団体のみ。1チーム3人による対戦方式で、前後半12分ずつのプレー。6人制バレーと同じ広さのコートで得点を競い合う。先天性の病で徐々に視力を失っていったという天摩さんは、どのようにしてこの競技と出会い、自らの技量を高めてきたのか――。

 今日の取材に同席し、練習相手を務めてくださるのは、日本ゴールボール協会理事の増田徹さん。代表チームの監督やコーチ歴があり、この競技の魅力を知り尽くす人物だ。

ゴールボールに重さが必要な理由。

松岡 今日はよろしくお願いします。僕は相当背が高くて、いま隣に立ちましたけど、肩がこんなところにあります(握手をした手を、自分の肩のところにそっと持っていく)。

天摩 (松岡さんの肩の位置を確認して)私が腕の下にすっぽり収まっちゃう感じですね。

松岡 僕、いま長袖のシャツを着てるんですけど、左胸のところに大きな字で『できる!』と書いてある。じつは一度、パラリンピック競技の体験イベントでゴールボールにチャレンジしたことがあって、でもそのときは……何もできませんでした(笑)。今、ボールを触って思い出したんですけど、すごく重いですし硬いです。最初にこのボールを触ったとき、どう感じましたか。

天摩 よく憶えてないですけど、女子がこのボールを持って投げるのは大変だなって、今でも思います。

松岡 この重さや硬さって、テレビを見ているだけでは絶対に伝わらないです。正直、もっと軽くした方が良いと思うんだけど、やっぱりこの重さはゴールボールには必要なんですか。

天摩 あまり軽いと、人間の反応速度の限界を超えちゃうのかもしれません。陸上の100m走でもスタート時のリアクションタイム(反応速度)には限界があるじゃないですか。私たちはボールを投げるところが見えているわけではなくて、投げ出された音を聞いて反応する。軽いとそれだけスピードも出るので、反応できなくなる可能性があります。

松岡 そっか。音が大事なんだ。だからボールが転がったときに鈴の音がするんですね。

【次ページ】 バスケットボールの約2倍ある。

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