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萩野、池江不在の中で競泳陣が不振。
平井コーチ「分析していかないと」。
posted2019/04/10 10:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
苦渋に満ちたような表情と、絞り出すようなひとことが、胸中を率直に伝えているようだった。
「大変、残念な結果です」
4月2日から行なわれていた競泳の日本選手権が8日に終了したが、大会を終えて姿を見せた日本代表の平井伯昌ヘッドコーチからは厳しい言葉が相次いだ。
それも無理はない。今夏に開催される世界選手権の代表選考を兼ねた大会だったが、代表入りを決めたのは、個人全34種目では10種目、計10名にとどまったからだ。
昨年の日本選手権終了時点で、パンパシフィック選手権とアジア大会の代表選手となったのは20名、アジア大会のみの代表を含めれば21名だったから、半減という大幅な減少である。
また日本記録更新も昨年は10度だったが、今大会は2回だけ。寂しさを増しているのは否めない。
代表入りのハードルが高くなった。
こうした事態を招いた前提として、代表入りするためのハードルが高くなったことに触れておかなければならない。
競泳の日本代表選考では、日本選手権の決勝で1位か2位となった上で、日本水泳連盟が定めた派遣標準記録を突破する必要がある。
派遣標準記録は複数設定されている。
昨年の場合は、世界ランキング8位相当の「I」、16位相当の「II」、20位相当の3つがあり、いずれかをクリアすればよかった。ただ今回は8位相当のI、16位相当のIIだけだから、その分だけ厳しくなったのは事実だ。なおリオデジャネイロ五輪の前は、オリンピック前年に基準タイムを一気に引き上げたが、リオ以降は徐々に引き上げる方針をとっている。