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萩野、池江不在の中で競泳陣が不振。
平井コーチ「分析していかないと」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/04/10 10:00
大橋悠依のようにしっかりと結果を残した選手はいる。東京五輪を来年に控える中で日本競泳陣はどう立て直していくか。
小関、鈴木らが代表入りできず。
ただ、平井氏は派遣標準記録の影響を否定する。
「(選手たちが)去年の記録で泳いでいたら、去年と同じ人数が選ばれていたんです」
さらに問題なのは、日本代表として多くの大会を経験し、本来なら基準を突破できるである実力者たちが代表に名前を連ねなかったことだ。
平井氏が名前をあげて言及した選手たちの名前を見れば明確だ。
リオデジャネイロ五輪個人2種目で入賞し、昨年のパンパシフィック選手権100m金メダル、アジア大会では3冠に輝いている平泳ぎの小関也朱篤。
平泳ぎ女子、ロンドン五輪で3つのメダルを獲得しリオにも出場、昨年のアジア大会50mと100mで金メダルの鈴木聡美。その同大会100mと200mで表彰台に上がった青木玲緒樹……。
こうした選手たちが、自己記録を下回り、今大会では個人での代表入りを果たせなかったのだ。
過度な緊張に襲われている選手も。
何が原因でこの結果に終わったのか。
平井氏は「今後分析していかなければならない」とした上で、推測できる要因をいくつか指摘した。
「レースになると、過度な緊張に襲われているように見受けられる選手がいました。ウォームアップでの調子がレースで生かされていない。ふつうに泳げばベスト記録じゃなくてもそれに近いところでいけるコンディションなのに、なぜか行ききれない。調整ミスとかそういうことじゃない。分からない」
「主力選手を欠いたところでの戦いとなったことが、苦しくなった原因の1つにあると思います。選考会のスタートが、池江璃花子選手の日本記録で始まったり、そういう雰囲気を感じられるとみんな乗っていくところがあると思うんですね」
一方で選手はどう感じていたか。
400m、200m個人メドレーで代表入りした大橋悠依は言う。
「ここ2年で、派遣設定が上がっているので、記録を意識しすぎて体が固まってしまって動かないという選手が、自分も含めてたくさんいたと思います」
200m背泳ぎで派遣標準を切って優勝した入江陵介はこう捉えていた。
「結果として、ちょっと寂しいですね。萩野(公介)君、池江さんがいない中、底上げしないといけないという意識は全員が持っていたと思います。それが空回りに繋がったのかもしれません」