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競泳界のホープが日本選手権初V。
渡辺一平「世界記録更新」へ着々。
posted2019/04/14 10:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
世界選手権代表選考を兼ねた競泳の日本選手権が4月2日から7日間にわたって開催された。基準をクリアして代表に選ばれた選手こそ、例年よりも少なかったが、目をひく泳ぎを見せる選手たちもいた。
中でも際立っていたのが、渡辺一平だ。
自身で世界記録(2分6秒67)を保持する200m平泳ぎで、150mまでは記録達成時のタイムを上回り、会場を沸かせた。
「バテて、体がぜんぜん動かなかった」と振り返ったように、ラスト50mで失速。世界記録更新はならなかったが、それでも2分7秒02の好記録で優勝したのである。
世界選手権代表入りを決めた渡辺だが、実は日本選手権はこれが初優勝。これまでの活躍からはやや意外でもある。
脚光浴びるも、勝てない日々。
渡辺は、2016年のリオデジャネイロ五輪に大学2年生で出場、準決勝でオリンピックレコードをマークするなどして200m平泳ぎ6位入賞を果たし、今後を担う1人と期待を高めた。
それに応えるように、'17年1月には世界新記録を達成。その後も日本代表として数々の国際大会に出場するなど、さらに大きな脚光を浴び、注目を集めることになった。
ただ、主要な大会では優勝できずにいた。
世界記録達成後の'17年日本選手権、'18年同大会と2年続けて2位、'17年世界選手権は銅メダル。'18年のパンパシフィック選手権こそ優勝を果たしたがアジア大会では2位……という具合だった。
「みんなから注目されるレースでなかなか思うように泳げていなかったというのが、今までの課題としてありました」