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MGC優勝者が東京五輪に行けない?
国際陸連の「後出しじゃんけん」。
posted2019/04/07 11:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Yuki Suenaga
3月10日、国際陸連が東京五輪の出場資格獲得方式を発表した。
参加標準記録と新たに設けられたランキング制の併用という新制度が話題を呼んだが、参加標準記録の厳しさ、そして複雑さに世界中の選手や関係者が悲鳴を上げ、頭を抱えている。
リオ五輪と東京五輪の参加標準記録を男子の一部種目で比較すると、以下のようになる。
100m:10秒16/10秒05
400m:45秒40/44秒90
1万m:28分00秒/27分28秒
棒高跳:5m70/5m80
マラソン:2時間19分00秒/2時間11分30秒
男子は7種目、女子は14種目が参加標準記録が日本記録を上回るレベルの高いものになっている。ここ数年、盛況な男子100mでも自己ベストが参加標準記録を上回る現役の日本選手は、桐生祥秀(9秒98)、山縣亮太(10秒00)、サニブラウン・アブデルハキーム(10秒05)の3選手のみ。参加標準記録を破れなくてもランキングで上位に入れば出場のチャンスはあるが、厳しいことに変わりはない。
なぜ超過酷な選考基準になったのか。
なぜ急に出場資格や参加標準記録が厳しくなったのか。理由はいくつかある。
1つ目は参加人数に制限を加えるため。
国際オリンピック委員会(IOC)は巨大化する五輪に歯止めをかけるために、参加人数の削減を目指している。そこでターゲットにされたのが陸上だ。リオ五輪の参加人数は1万1237人。そのうちの約2000人が陸上選手だった。
陸上は種目が多いため、他競技に比べて出場人数が多い。そのため一部種目を五輪種目から除外するという噂もあったが、さすがにそれは反発が大きく、そのため除外に変わって、東京五輪では1900人まで減らすという人数制限を選択。その影響で参加標準記録が厳しくなった。サーフィンやスケートボードなど新しい競技を加えて人数増加しているため、IOCの方針には矛盾があるのだが……。