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MGC優勝者が東京五輪に行けない?
国際陸連の「後出しじゃんけん」。 

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byYuki Suenaga

posted2019/04/07 11:00

MGC優勝者が東京五輪に行けない?国際陸連の「後出しじゃんけん」。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

現在の規定のままだと、日本記録保持者・大迫傑がMGCで優勝をしても、五輪に出場できない可能性がある。

懸念材料はMGCの日程。

 本戦への参加選手のほぼ全員の自己ベストが国際陸連の設定する参加標準記録を上回っている。

「普通に走れば記録突破は大丈夫でしょう」

 そう思われるかもしれないが、問題は本戦の行われる日程だ。

 MGCは9月15日、東京で開催が予定されている。過去の気温を見ると9月でも30度を越える日もある。

 本戦に出場する選手の実力を見ると、上位に入る選手たちが参加標準記録を突破する可能性はかなり高い。しかし、気温や湿度が極端に高くなった場合、スローペースも予想される。

 また代表権がかかったレースで極度の緊張、プレッシャーもある。これまでのレースとは異なり、ペースメーカーもつかず、選手同士が牽制しあうことも予想される。

 つまり、レース展開もタイムも現時点では全く予想がつかない。

複数レースに出場する必要も?

 優勝しても国際陸連の定めた参加標準を突破できなかった場合、2020年5月末までに再びマラソンを走らなければならない可能性もある。もしくは、MGC前に参加標準記録を破るためにレースに出ることもできるが、リスクを抱えた挑戦になる。

 ちなみにリオ五輪での参加標準は男子2時間19分、女子2時間45分。このタイムだったら、MGCで優勝した選手は軽く突破できたはずだ。

 日本の場合、せっかく五輪に向けて一発選考レースを決め、選手たちもそれに向かって励んでいるのに、国際陸連から後出しじゃんけんをされたような状態だ。

【次ページ】 米国も日本と同じ問題を抱える。

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