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男子エペ団体がW杯初優勝の快挙。
日本フェンシングが躍進する理由。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/04/01 10:00
男子エペ団体がW杯を初制覇し喜ぶ(左から)山田優、見延和靖、宇山賢、加納虹輝。
東京五輪の金メダルが鮮明になってきた。
勝つために得点を取ることはもちろん大切だが、団体戦の場合、相手に得点を“取らせない”というのも同じぐらい重要だ。実際にアルゼンチン大会の2回戦でもフランスとの対戦時、宇山にとって分が悪い世界ランク1位のヤニック・ボレルに対しては山田が交代出場し、失点を最小限に抑えたことがチームとしての勝利につながった。
海外遠征で個を磨き、体格や力で勝る相手に対して自分の上回る武器を探す。そうやって高めた個の力をチームで結集させ、それぞれが役割を全うし、頂点に立つ。まさに理想通りの展開であり、快挙達成に対しても西田コーチが「これだけの力はあると思っていたので驚かなかった」と言うように、なるべくしてたどり着いた成果でもある。
見延が言った。
「太田会長がメダルを獲って、日本人でも勝てると証明してくれた。そして僕たちエペも勝つのは難しい種目だと言われ続けてきましたけど、それも僕たちが勝つことで勝てると証明できた。若い世代も伸びて、いい連鎖がフェンシング全体に起きたと思うので、オリンピックに向けてここからが勝負。東京オリンピックで金メダルを獲るということが、前より鮮明に見えてきました」
頂点は、もはや見上げる場所ではない。まっすぐ前、見据える先にある。