スポーツはカタチから入る方なんですBACK NUMBER
Numberコラボの異色折り畳み自転車。
毎日が楽しくなる、お得な使い方とは?
posted2019/03/31 09:00
text by
奥山泰広&高成浩Yasuhiro Okuyama & Seikoh Coe(POW-DER)
photograph by
SAKAI CYCLE
大阪・堺市の本格バイクメーカー、サカイサイクルと雑誌『Sports Graphic Number』がコラボした「Number BICYCLE」の第3弾は、コンパクトに畳める超小型のフォールディング(折り畳み式)・バイク。クルマや電車とも相性の良いこの自転車を使いこなせば、日常生活の活動範囲が格段に広がると言うのですが、はたして……その可能性に迫ります!
奥山 はぁはぁ、ゼイゼイ……お早うございます。
高 おっ、自転車通勤ガンバッテるね~。
奥山 前回のコラムでNumber BICYCLEの最新車種「FLAT-ONE(フラットワン)」を紹介してもらって、そのスポーツライクな走りに感激しちゃったもんだから……“ジテ通(自転車通勤の略)”にハマってるんですよ!
高 おお~、そいつは素晴らしい。奥山の家から事務所までは5kmくらいかな。でも、途中でアップダウンがあるから、ちょうどいい運動になるよ。自転車で走ることは高効率な有酸素運動だから、心肺機能の強化に役立つよ。それに普段の身体の動きではなかなか鍛えられない「腸腰筋」、骨盤の深部にあるインナーマッスルを強化することができるからね。この筋肉を鍛えると腰痛と便秘の解消に効果的なんだよ。また、高齢者の転倒予防にも良いらしいんだ。
奥山 あのぅ……高さんはそこそこ高齢者に入りますけど、僕はまだまだ若いので転倒は杞憂ですよ。そうそう、Numberのロゴが入った「フラットワン」に乗ってクライアントとの打ち合わせにも行くんですけど、原宿や青山では注目度抜群ですよ。クライアントの人たちも興味津々なので、フラットワンの性能や自転車ツーリングの魅力について、熱~く語っちゃいました。自転車ファンが増えるといいなぁ。
高 そう、まさにソレ! 見た目の印象や口伝てでもいいから自転車に乗ることの楽しさが広がることこそ、Number誌とサカイサイクルがコラボした目的であり切実な願いなんだよ。俺たちもそれを担わなきゃいかんよ。
奥山 それでですね、高さんにちと相談があるんですが……。フラットワンでのジテ通を続けていたら、もっといろんな道を走ってみたくなっちゃったんですよ。なにか良いバイクってあります?
高 おお~っ、遂に奥山もロングライドに目覚めたか! ちょうど5月に日本海・糸魚川市までの300kmを走る「東京→糸魚川ファストラン・クラシック」があるから、本格カーボンバイクを買って一緒に走るか?
奥山 いやいやいや……そんなの無理に決まってるじゃないっスか! そもそもそういうストイックな競技に出なくても、「もっと自転車って楽しいんだぜ」と訴求するのが目的なのに、それじゃあ本末転倒でしょ!? だいたいねぇ、僕はクルマがガンガン走っている幹線道路は苦手なんです。どうせ走るなら、郊外のクルマがあまり走っていない田舎道だけ走りたいなぁ。
高 すまんすまん、それじゃあコイツはどうかな? ジャ~ン、Number BICYCLEの第3弾、「SUBWAYBIKE(サブウェイバイク)」だ!
走りを妥協しないフォールディングバイク
奥山 なんスか? このやけにタイヤが小っこくて、その分ハンドルとサドルが妙に高い位置にある自転車は!? 安定悪そうだし、そもそもボディ自体が小さいから……こんなのでまともに走れるんスか?
高 ふむふむ、奥山の指摘というか疑問は、正しいのもあればシロート特有の間違った見識もある。まずこのサブウェイバイクは“フォールディングバイク(折り畳み自転車)”ってことに注目。折り畳んだ時に、よりコンパクトになるようタイヤ&ホイールを小さくしているんだ。
でもね、サカイサイクルのエラい所は、「折り畳まなくてもコンパクトな設計」にしていること。しかも、フォールディングバイクがないがしろにされがちな“走り”を、ちゃんとスポーティに仕上げている所も凄い!
奥山 なるほど。フラットワンみたいに軽快でスポーティな乗り味が体感できるんですか?
高 さすがにそこまではないけど……まぁ奥山がさっき「安定悪そう?」と言ったけど、それこそまったくの杞憂というくらいの高いレベルにはある。タイヤが小さい分、ギアやクランクといったコンポーネンツが低い位置に搭載されているから、極めて重心が低いことをうまく活用したと言えるね。サドルとハンドルが高い位置にあるのは、最適なライディング姿勢を実現するため。
注目して欲しいのは、ハンドルがヘッドチューブからステムを介して前方に取り付けられている所だ。
奥山 え~と、専門用語てんこ盛りですが……要するにタイヤからハンドルまでが、クランク状になっているんですね。確かにハンドルが前に出てますね。
高 これによって座った時、特にペダルを漕ぐ時に体重がバイクの中心より少しだけ後ろにくるため、安定して走ることができるんだよ。
奥山 でも小さいタイヤだから、ペダルを無茶苦茶たくさん回さないと進まないんじゃないの?
高 いやいやいや、この自転車はギア比も緻密に計算されているから、ペダリングは重くもなく軽くもなくという……絶妙な加減になっていて、思った以上にしっかり前へ進むように設計されているんだよ。
奥山 納得しました。もしかしてこのサブウェイバイクの設計も、フラットワンと同じ人?
高 そう! 自転車競技の元日本代表監督を務めたこともある人で、そのこだわりはそりゃあそりゃあ強くて、完成するまでメーカーもNumber関係者もヘロヘロだったらしいよ(笑)。
奥山 んじゃあ、早速試乗して来ま~す。
高 幹線道路が苦手なら、ここからほど近い皇居や迎賓館の周りがいいぞ。適度なアップダウンもあるし。おっと、歩行者やランナーに気をつけてね。