“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

単なる“早熟タレント”じゃない。
17歳松岡大起は鳥栖の起爆剤となる。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTakahito Ando

posted2019/03/20 07:30

単なる“早熟タレント”じゃない。17歳松岡大起は鳥栖の起爆剤となる。<Number Web> photograph by Takahito Ando

ユース所属の2種登録選手ながら、リーグ戦3試合連続でスタメン出場する松岡。U-18日本代表のUAE遠征メンバーにも選出された。

ピッチ上での落ち着いた佇まい。

「入る気がしていたんです。(原川)力くんのクロス、トヨさん(豊田陽平)も中にいるので、もう僕は願うだけでした。チームはずっと負けていたし、しかも自分が出て負けていたので、すごく悔しい思いがありました。(Jリーグの舞台で)勝つということを味わっていなかったので本当に良かったです」

 冒頭で触れたように、彼はまだ17歳。鳥栖U-18所属のこの春、高校3年生になる選手だ。普段の表情にはまだあどけなさを残す。

 だが、一方でピッチ上の佇まいは非常に落ち着き払っている。チームのバランスと自分のプレースタイルをアジャストさせる大人びたプレーをする。それらを引き出すのは、彼の技術レベルの高さはもちろんだが、そのメンタリティーにも起因している。

 苦しいチーム状況で迎えた磐田戦。並の選手であれば“自分がチームに迷惑をかけている”と思った瞬間に、ミスを恐れ、持ち味を失ってしまっただろう。だが、彼はきっぱりとこう言った。

「そういうのはあまりないです。逃げたらダメというか、自分の場合は(そういう気持ちだと)うまくいかないので、積極的なプレーを常に心がけています」

 踏み込んだ言い方をすれば、失敗を恐れない「積極的なプレー」は、ただの空回りとなる危険性も大いにある。

 しかし、松岡はチームの規律を重視しながら、「自分の見せ方」を知っているように感じた。

複数のポジションをこなす器用さ。

「僕の長所はプレーの連続性とボールを奪って前に行く推進力。そこは相手の位置と味方のポジショニングを見ながら、意識しています」

 本職はボランチ。鳥栖U-18では4-1-4-1のアンカーをこなす。ただ、J1の舞台では、3-5-2の右インサイドハーフ、4-4-2の両サイドハーフと、リーグ3試合で早くも3つのポジションをこなしている。

「これまでサイドのポジションはあまり経験がなかったですが、色々学ぶことができています。サイドはタッチラインがある分、プレスが来る方向が限定されますが、逃げ道がない。でも、ボランチと違って、1対1に勝てば大きくチャンスにつながるので、そこで勝つことにもっと磨きをかけていきたいです」

【次ページ】 刺激を与える同世代のライバルたち。

BACK 1 2 3 4 NEXT
サガン鳥栖
松岡大起

Jリーグの前後の記事

ページトップ