“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
単なる“早熟タレント”じゃない。
17歳松岡大起は鳥栖の起爆剤となる。
posted2019/03/20 07:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
まず、この物語の主役は2001年6月1日生まれの17歳である。
J1第4節・サガン鳥栖vs.ジュビロ磐田の一戦。これまでリーグ3連敗でいまだに勝ち点をつかめずにいた鳥栖は、ホーム・駅前不動産スタジアムで悲願のリーグ戦初白星をつかむべく、緊迫したゲームを繰り広げた。
この試合、右サイドハーフで3試合連続のスタメン出場を果たしたMF松岡大起は、0-0で迎えた65分にDFカルロ・ブルシッチとの交代を告げられる。こみ上げてくる悔しさを押し殺しながらベンチに座り、ピッチを食い入るように見つめていた。
この試合の松岡の出来が決して悪かったわけではなかった。
持ち前のポジショニングの良さと球際の強さ、前への推進力を駆使し、右サイドバックの原輝綺と抜群の連係を取りながら、ボールポゼッションに関わっていた。むしろ、攻守の切り替えの面で、確実に試合の流れを作り出していた。
攻守に貢献する松岡。
「今日はまず守備で相手にきっちりとプレッシングをかけて、ボールを奪い切ることを意識しました。(対峙する)アダイウトン選手は、アジリティーを考えても、僕の方が俊敏性で勝負できると思ったので、しつこく食らいつきました」
この言葉通り、マッチアップした磐田MFアダイウトンの仕掛けを、原とのコンビネーションでことごとく封じた。
その一方で、攻撃ではスペースの使い方を意識したという。
「相手の裏のスペースに走って、味方がプレーしやすいスペースをつくり、ボールを受けること。そして、ポジションを入れ替えることを意識しました。
輝綺くんとは、タイミングにより、内と外で入れ替わったり、逆にワイドに張ってみたりと、相手に応じた変化を加えるようにしました。意識的に『ボールにちょっと触れればゴールに入る』ような位置に入り込むことは考えていました」