話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
三好康児はマリノスでもう不可欠。
右から崩し、すぐ奪い返す先鋒役。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/04 12:00
ポステコグルー体制で攻撃的な姿勢を貫いているマリノス。そこに三好康児が加わったことで、新たな化学反応が起きようとしている。
“掴み切れない選手”の筆頭。
「攻撃している時、みんなの距離感がすごくいいんですよ。だから、ボールを失った後でもすぐに奪い返すことができるんです。攻撃陣にとっては長い距離を走って戻るよりも、そこで切り替えてボールを奪える方がラクだし、最善策にもなる。切り替えてすぐに奪い返せば相手は何もできないんで」
三好ら前線の選手が切り替えの先鋒となり、ボールを奪い返してまた攻める。そういうシーンが仙台戦では何度も見られた。前半のポゼッション率は68%になり、ほぼボールを握っていた状態だ。
常にボールを握って、失ってもすぐに奪い返せば相手にゴールを奪われることはない。それがマリノスが追求するスタイルであり、今の強さの要因の1つになっている。
「マリノスの特徴は、自由なんですよ。ポジションはあるけど、そこにこだわらない。誰がどこのポジションにいてもいいというサッカーなので、もちろんリスクはともなうけど、攻撃では相手が誰をどこで掴めばいいのか分からない。相手にとっては嫌だろうなって思いますね」
その“掴み切れない選手”の筆頭が、三好なのだ。
攻撃をコントロールし、チャンスを作る。その見事な仕事ぶりはポステコグルー監督も認めているようだ。仙台戦では後半16分に天野を下げて大津祐樹を入れ、三好を左インサイドハーフに移動させて残した。この交代からも三好への厚い信頼がうかがえる。
研究されてからどうプレーするか。
もちろん課題もある。
この日のシュートは2本。開幕戦のガンバ大阪戦では豪快なミドルを決めたが、仙台戦は不発に終わった。今後の対戦相手は右サイドをはじめ、マリノスを研究してくるだろう。
「シュートは精度がまだまだ足りない。勢いで打っている部分もあるし、今日のシュートシーンはもうひとつ崩せるところでもあった。そういう判断のところを上げていければいいかなと。これから自分たちのサッカーも研究されてくるので、そこからどうなるか、ですね」
今後、力のあるチームと対峙した場合、三好には粘り強い守備が求められることになるだろう。天野は「攻撃が左サイドからになった時、康児がもっと左に寄ってきてコンビネーションで崩していくのを増やせたらもっと怖い存在になる」と語ったが、これからはバランスを取った攻撃が要求されるはずだ。