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中島翔哉の信念は「自分の良さ」。
カタールで築く新たな成功モデル。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2019/03/03 10:00
アル・ドゥハイルでの初ゴールをマークした中島翔哉。活躍する場所がどこであろうと、そのテクニックで世界を震撼させてほしい。
長谷部誠が話していたこと。
現在、ブンデスリーガのフランクフルトでプレーする長谷部誠は、ドイツへ渡る前に浦和レッズでプレーしていた頃、60m近くをドリブルで運んでゴールを決めるような選手だった。
それが、今ではDFラインの中央、リベロのポジションでプレーするようになった。Number971号のインタビューで長谷部はこう語っている。
「こちらの選手は『自分が、自分が』という思いが強いので、それならば、チームのために戦うことが自らの存在意義なのかなと考えた」
彼は誇りをもって自分のプレーを変化させていくことで、自身の存在価値を高めていった。現在のドイツでの評価は、彼がドイツに渡った2008年以降で最も高まっている。実際に老舗「キッカー」誌の選手の採点ランキングではDF部門でトップ、全てのフィールドプレーヤーのなかでも首位ドルトムントのマルコ・ロイスにつぐ2位につけていたほどなのだから。
中島のようなタイプでもいい。
長谷部のように変化と徹底的に向き合うことでキャリアを実りあるものにする選手がいるならば、中島のように自分の良さを貫き通すことで、キャリアをバラ色に変えていく選手がいてもいいはずだ。
サッカー選手の能力は、100m走の選手のようにわかりやすい数字で表せるわけではない。様々な成功パターンがあっていい。何より、様々な成功パターンを受け入れる土壌がある国こそが、サッカーについて成熟した考え方を持つ強豪国であることを忘れてはならない。
だから、中島の中でブレずに、「自分の良さ」を突き詰めようとしていることは見逃せない。彼はこう語っている。
「この環境に慣れてくれば、より楽しく、プレーできると思います」