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中島翔哉の信念は「自分の良さ」。
カタールで築く新たな成功モデル。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2019/03/03 10:00
アル・ドゥハイルでの初ゴールをマークした中島翔哉。活躍する場所がどこであろうと、そのテクニックで世界を震撼させてほしい。
「自分の良さ」に意味がある。
アジアカップによる中断期間を経て、2月16日からカタールリーグは再開した。中島は移籍後初戦となるアル・スィーリヤSC戦で4-2-3-1の左MFで先発出場し、ゴールの起点となった。2戦目のアル・ガラファ戦でも左MFとしてフル出場、59分からトップ下に回った。
左MFとしてプレーしているときにも、攻撃時には中央に入ることが多かった。その理由について、彼はこう話していた。
「チームの戦術の1つです。両サイドバックが高いところまで上がることが多いのもありますけど、相手ボランチやMFの背後で僕がボールを受けることで、『自分の良さ』が出しやすいというのもあります。そこでしっかりと『自分の良さ』を活かしてチームに貢献できればなと思います」
「自分の良さ」というところに、大きな意味が隠されている。
中島の強みはどこにあるのかをわかった上で、クラブは獲得に動き、背番号10を与えた。そして、ファリア監督もその良さを活かそうと考えている。
もちろん、チームのために。
長所を武器に歴史を作る。
中島は語る。
「監督からも中央寄りでプレーするように言われています。実際にそれが上手くいくと良いプレーができるので、自分の中でもどんどんチャレンジしたいと思っています。その中でラストパスを出したり、シュートを打ったり、求められるプレーを積極的にやってチームの勝利に貢献していきたいです」
中島は、彼の良さを活かそうとしてくれるチームに身を置いているわけだ。
攻撃的な選手がキャリアアップを図るうえで直面する最大の問題は明白だ。
クラブの格が上がるにつれて得意なプレー以外のタスクが増えていき、本来の持ち味だったプレーが見られなくなってしまうケースは多い。
中島には愚直なまでにゴールを狙うシュートや、サッカー少年がそのまま大人になったようなドリブルなど、他の選手が簡単には真似できない武器がある。
しかし、すでに確立されたルートでビッグクラブの階段を登っていけば、そうした長所を失う懸念もある。
ただ、中島の能力を高く買っているアル・ドゥハイルへの移籍は、そうではない。このクラブでは彼の長所を武器に「歴史を作る」ことを期待されているのだ。