“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
コンサドーレ不動の10番・宮澤裕樹。
FW→トップ下→ボランチ→CBの心の旅。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/02/28 11:15
強いキャプテンシーでチームを牽引する宮澤裕樹。コンサドーレの精神的な核となり、チームの成績に責任を持つ立場となった。
10番として、キャプテンとして。
冒頭でも触れた通り、宮澤は10番に加えてキャプテンの責務も負っている。
ポジションもこれまでの主戦場だったボランチから、昨年の終盤に3バックの真ん中にコンバート。開幕戦も3バックの真ん中を託され、より責任が重い立場となった。
「去年と比べてチームの年齢もだいぶ下がり、僕もかなり年齢的に上の方になったので、チームを引っ張っていくという気持ちがまた新たになりましたね。
プレーヤー個人としては、まず1人の選手としてチームの戦力にならないといけないので、そこはこれまで通りチームに必要とされることをきちんとやることを意識しています。
それと今年に入って新しく思うようになったのは、自分より若い選手が多く試合に出ているので、任せるところは任せること。チームの2~3年後を考えた時に、主力でやるべき選手たちがスタメンで出ているので、今後のチーム像を見据えて『見届ける』というか、『支える』存在になりたいと思うようになりました」
プロ12年目、10番10年目。
29歳になり、チーム内で上から6番目の年齢となった。在籍年数ではもちろんチーム最長だ。
宮澤の目には「今」だけではなく、「クラブの将来」が映るようになっていた。
最後尾で落ち着いたプレーを見せる宮澤。
その意識の変化はプレーにも現れている。
湘南戦、彼は3バックの真ん中で非常に落ち着いた様子で全体を見渡しながら、カバーリングとコーチングを駆使し、かつ球際では誰よりも激しくぶつかり、札幌の守備を引き締めていた。
マイボールになっても、落ち着いてキープしてから前線の動きに目を光らせて効果的な縦パスを打ち込むなど、攻撃の起点にもなった。
「ボランチの時も頻繁にDFラインに落ちていて、守備やゲームコントロールをしたことがあったので、今のポジションに違和感はありませんでした。
守備はこれまで通り責任を持ってやりつつ、ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のサッカーは、後ろにも攻撃の起点が必要なので、自分がボールを動かして起点を作る意識を持っています。チームが機能する配球、チームが安定する守備をすることを最優先しています」
最後尾で落ち着いた大人のプレーを見せる宮澤の姿は、言葉どおりイキのいい若手の躍動を支えていた。