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コンサドーレ不動の10番・宮澤裕樹。
FW→トップ下→ボランチ→CBの心の旅。

posted2019/02/28 11:15

 
コンサドーレ不動の10番・宮澤裕樹。FW→トップ下→ボランチ→CBの心の旅。<Number Web> photograph by Takahito Ando

強いキャプテンシーでチームを牽引する宮澤裕樹。コンサドーレの精神的な核となり、チームの成績に責任を持つ立場となった。

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Takahito Ando

 今年もコンサドーレ札幌の背番号「10」は宮澤裕樹のものだった。

 地元である室蘭大谷(現・北海道大谷室蘭)高から加入した3年目の2010年に“道産子エース”として10番を託されると、そこから不動の背番号として背負い続けた。

 2019年J1リーグ開幕戦の湘南ベルマーレvs.コンサドーレ札幌の一戦。

 宮澤は今年で10年目となる背番号10を背負っていた。左腕には、チームカラーである赤いキャプテンマークも巻いてピッチに立っている。

 彼は「(10番を)付けたいという選手がいればいつでも譲る」と公言しており、10番へのこだわりはそれほど無いように振る舞う。

「今回も『来年も10番で頼むぞ!』という話も特にはなく、自然とそのまま引き継がれている感じでした。多分、誰かが『(10番を)付けたいです』と言うか、僕が『変えてください』と言わない限り、そのまま継続だと(笑)」

 一見、無責任な発言のようにも見えるが、軽い気持ちで10年間も10番を背負い続けることなど絶対にできるはずがないということは……サッカー界では自明のことだ。

「僕はどちらかというと地味な存在で」

 彼は「いつでも譲る」とは言うものの、自ら変更を申し出たことはなかった。

「自分は他の人が思うような華やかな10番ではないし、どちらかというと地味な存在」と、自分が思う10番像と現実のギャップに苦しむこともあった。それでもそこから目を背けることなく、「自分らしい10番像」を築き上げようと必死でもがき、「どんな状況でも、どんな形でもチームの勝利に貢献することこそ10番」という目標を設定し、自らの揺るぎない信念に変えていった。

 その信念は数字にも表れている。10番として昨年までJ1リーグ・81試合(3シーズン)、J2リーグ・206試合(6シーズン)に出場。昨年はクラブ史上最高のJ1リーグ4位にまで上がり、もはやコンサドーレに君臨していると言って良いほどの存在感である。

 要は「誰も名乗り出ない」のではなく、「コンサドーレの10番=宮澤裕樹」という図式が完全にでき上がり、誰もが認めるコンサドーレの象徴になっているということなのである。

【次ページ】 10番として、キャプテンとして。

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宮澤裕樹
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