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鹿島が直面した「変化の必要性」。
大岩監督、内田が語る切実な理由。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/02/22 17:30
鹿島アントラーズの「空気」を色濃くまとう内田篤人。彼のような選手が強豪の伝統をつないでいくのだろう。
大岩監督は、クラブの「空気」を大切にする。
しかし選手の自主性を重視するというのは、非常に難しいことでもある。クラブの伝統の継承について語った大岩監督の言葉からも窺える。
「日常が大事で、日常の積み重ねが今のアントラーズを作っているわけだし、自分たちの成長にとっても日々の日常がいかに重要かと言うのを感じてほしい。これは言葉で伝えたからと言ってできるものではない。
練習へのアプローチであったり、普段の言動、立ち振る舞いだったりを(ベテラン選手が)示すことがまず第一。あとはそれを見て若い選手が何を感じるか? どう感じて、何を自分たちのものにしていくのか。そういう相互関係があって、初めて伝統というのが伝わっていく。どちらかが一方的というよりも、そういう日常の空気を醸し出す側、吸い込む側があって初めて継承できることだから」
先輩が後輩に対して、過剰に言葉でアドバイスすることもない。そういうなかで、言葉では伝えられないものをいかに感じ取れるのかが選手には試されている。指揮官が言葉で伝える仕事をし過ぎないのは、ロッカールームに生み出される空気を壊さない配慮の結果なのかもしれない。
誰が抜けても次が台頭するように。
そんなふうに鹿島の伝統は紡がれてきたが、選手の入れ替わりが激しくなった今、自然熟成とはまた別に成熟度を高める工夫が求められている。
「このクラブ自体は、植田(直通)、昌子(源)だけでなく、大迫(勇也)、(柴崎)岳といった中心選手が抜けていくなかで新しい選手が出てくるクラブなので。しっかりサイクルとして受け止めなくちゃいけない。
今いる若い選手もいずれ、外に出ていくということもあると思う。それでもまた次が出てくるような準備というか、いつ誰が出て行っても、次がやれるよっていうことの準備をしたい」と大岩監督は語っている。