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鹿島が直面した「変化の必要性」。
大岩監督、内田が語る切実な理由。
posted2019/02/22 17:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「Football Dream―かわる」
鹿島アントラーズは2019年のスローガンをそう掲げた。
クラブ創設から25年余り、創設にも関わったジーコのスピリッツのもと、伝統を継承し続け、数多くのタイトルを手にしてきた。昨シーズンは初めてACL優勝を飾り、そのコレクションを新たにしているが、2シーズン連続で国内タイトルから遠ざかっている現実に対する危機感は小さくない。
くわえて昨季終了以降、小笠原満男が引退、西大伍、昌子源が移籍し、戦力的にも世代交代の過渡期を迎えている。
「今までの共存共栄から、競争の時代へとJリーグも変わり始めた」と鈴木満強化部長は昨シーズンは何度も口にし、それがジーコのテクニカル・ディレクター招聘へと繋がった。原点を重要視しながら、クラブの変化を促したいという意識の表れでもあった。
昨年は前半戦で負け越し。
2017年、シーズン途中から大岩剛監督が就任して首位を走ったが、最後の2試合を連続で引き分けて優勝を逃した。最終節の磐田戦後、「攻撃のバリエーションを増やさなければならない」と指揮官は語ったが、2019年2月9日のプレシーズンマッチ水戸戦の後も同様のコメントを残している。2018年シーズンに60試合を戦ったチームが抱える課題の大きさを感じた。
2018年シーズンは、前半戦の15節までを5勝3分6敗(1試合未消化)の11位と負け越しで終えた。
「終了間際に失点したり、勝ちきれない試合が多かった。鹿島は1試合、2試合負けただけでとんでもないことになるクラブ。それは現役時代から経験し、意識している。前半戦は特に大きな危機感を抱えていた」と大岩監督が振り返る。
チームに新しいスタイルを持ち込み、調整を施そうという意欲のもとでスタートしたシーズンだったが、過密日程が原因でそれをチームに落とし込む時間もなかった。くわえて離脱者が相次いだことも大きい。結果が出ない状況では、「目の前の1試合」に注力することになる。未来の勝利のために、今日の敗戦を許す余裕はない。