マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
源田が人を育て、山川が技術を誇示。
西武キャンプは呆れるほどの充実度。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/02/25 07:00
一緒にノックを受ける源田壮亮(左)と山野辺翔(右)。背後で見つめる辻発彦監督の視線が鋭い。
山川穂高の打球のとんでもない速度。
そんなことを考えているうちに、キャンプは「ランチタイム」が終わって、午後のメニューに入っていた。
主砲・山川穂高の打球がとんでもないスピードで外野スタンドに突き刺さる。
体の内側に絞り込むような独特な左足の上がり、そのピークで左ヒザにグリップをトンと当てるようにしてタイミングのきっかけを作ると、そこから一気に体の左右を割ってトップを作ると、全身をぶつけるようにしてボールを打ち抜いていく。
射角30度ほどで発射された打球が、そのままの角度で真一文字に突き進み、そのまま左翼100mの外野スタンドを越えて、その向こうの高いネットを直撃する。
バットコントロールにこそ本領がある。
驚くのは、その飛距離や弾道のすさまじさだけじゃない。
投げているのは、専門のバッティングピッチャーだから、ボールはほぼストライクゾーンに集まるのだが、そこは人間、たまには投げ損じることもある。山川穂高がすごいのは、その投げ損じの“クソボール”まで、自在なバットコントロールでジャストミートさせてしまうことだ。
内角の頭ほどの高さのボールを、ちょっと頭を後ろにズラすようにしてスイングする空間を作ると、両腕をたたみ込んで球道にバットをタテに入れて、そのまま振り抜いてしまう。それでも、正確にボールの芯を捉えているのだろう。打球は、猛烈なライナーとなって、レフトポールのあたりに突き刺さる。
3人の打者で打つ順番を回しているのだが、自分の番の最後の1球。山川穂高は必ず「ホームラン」と予告して、その通り放り込む。もちろん、ボールを選ぶ……なんて素人じみたことはしない。どんなボールでも、いとも簡単に放り込む。