マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
源田が人を育て、山川が技術を誇示。
西武キャンプは呆れるほどの充実度。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/02/25 07:00
一緒にノックを受ける源田壮亮(左)と山野辺翔(右)。背後で見つめる辻発彦監督の視線が鋭い。
3年目の源田が、もう人を育てる番。
打球に対して、感じたままに自由に動いて、その柔軟な連動の中で、ボールを扱える源田のフィールディングが「華麗」なら、山野辺のフィールディングは、時間をかけて塗り込み、刷り込んできた内野手の「典型」の確かさ。
但し、こういう打球にはこう動かなきゃならない……みたいな“拘束”が、山野辺の動きを堅くしている。そんな場面が何度かあったのは、一方の源田の動きが、まるで「アウトにすればいいんでしょ」とつぶやいているような、自然であまりにも自由な身のこなしだったから、余計にそう見えたのかもしれない。
キャンプからオープン戦、おそらくこのコンビで二遊間を組むのだろう。
ソフトタッチの中に、実は確かな“基本”のタグがいくつも埋め込まれた源田壮亮のフィールディングが、二塁手・山野辺翔の動きの力みと“角”をどれだけ削り取って、滑らかで自然な動きにしてくれるのか。
3年目の名手・源田壮亮に、もう人を育てる番がまわってきたようだ。
源田の守備はアマチュア時代から出色。
「源田壮亮」で思い出すのが、3年前の秋。
彼がドラフト3位で西武から指名された秋のことだ。
その年の目玉は、創価大・田中正義(現・ソフトバンク)だったり、桜美林大・佐々木千隼(現・千葉ロッテ)だったのだが、その頃「目玉はさておき、安倍さんの隠し玉は?」と訊かれたときに、私は必ず「トヨタ自動車・源田壮亮」の名を挙げては、この遊撃手のフィールディングの質の高さを訴えたのだが、どのメディアにも、一様にキョトンとされてしまった。
私自身の“見立て”が信用されていなかったのだが、わずかにその「証言」を覚えていてくださった方たちには、「ね、だから言ったでしょ」という、ちょっと自慢の気分なのだ。
ちなみに、昨季の「源田的存在」はNTT東日本・福田周平(内野手、現・オリックス)であり、今季の「源田」は、西武でチームメイトとなった日本体育大・松本航(投手、現・西武)であると、私は一貫してそう言っている。
自慢めいた話は慎むべきとは心得ているつもりでも、あまりにも「会心の的中」だったりすると、しゃくなので自分から言うように最近はしている。