マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
源田が人を育て、山川が技術を誇示。
西武キャンプは呆れるほどの充実度。
posted2019/02/25 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
西武ライオンズの「南郷キャンプ」へは、都城から峠を2つ越えていったん日南に出てから、海沿いを隣り町の南郷に向かう。
日南からの道中で、このキャンプめぐりで初めて海を見た。
わずか5分足らずのオーシャンビューでも、早春の青い海のきらめきは、いくつになっても胸が躍る。
あまり知られていない話だが、12球団すべて、キャンプで泊まるホテルがオーシャンビューなのも、そんな高揚感の中でシーズンの準備をしてもらおうじゃないか……そうした球団からの配慮なのかもしれない。
駐車場から一気に登ると、息が上がり、ヒザが笑うほどの高台にあるのが西武キャンプの南郷スタジアム。
どの球団も、午前中は守備練習に時間を費やす。体の動きのキレ味が必要な守備練習は、まだ体がフレッシュな午前中のうちに。それがキャンプのセオリーになりつつある。
源田と二塁を組む、浅村の後釜は?
浅村栄斗が楽天に去ったあとの「セカンド」をどうするか。これは、野球ファン注目の西武の「宿題」であろう。
プロ3年目にして、「国民的遊撃手」に台頭した源田壮亮と組める二塁手。相手が“名手”ならば、組む相手も名手でなくては……ついそう考えがちだが、本当にそうだろうか?
名手なら誰が相手でも組めるはず。むしろ、そっちのほうが本物の名手っぽいのではないのか。そんな気がしたのは、源田壮亮とルーキー二塁手・山野辺翔の「二遊間」を見たからだ。
オギャーと生まれたその時からもう上手かった……打球のほうから彼にすり寄っていくように見えるのが遊撃手・源田壮亮。対して二塁手・山野辺翔は、控えの控えぐらいだった桐蔭学園当時から桜美林大、三菱自動車岡崎の合計9年間、練習して練習して、鍛えて鍛えられて、ようやくここまで腕を上げてきた“たたき上げ”の職人みたいな選手だ。
源田壮亮とコンビを組んでノックのボールを拾い投げる動きの端々に、いちいち真逆のメカニズムが見てとれる。