JリーグPRESSBACK NUMBER
「風間監督に気づかせてもらった」
名古屋・ジョーの柔と剛のゴール論。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/02/22 11:45
Jリーグで独自のスタイルを作り上げる名古屋。セレソン歴のあるジョーも風間理論で飛躍した。
相手DFとは逆の動きをしろ。
「よく言われているのが『相手ディフェンスとは逆の動きをしろ』ということです。今まで考えたこともなかったし、やろうとも思わなかった。気づいていなかったことに気づかせてもらい、凄く成長できました。どのタイミングでどう動くか、ボールを持っている人の動きをどう見ていくか。風間監督には本当にいろいろなことを教えてもらっている」
風間語で言うところの「相手に触らせるな」。
触らせても(競り合っても)勝てるジョーに、動きで相手を外して勝つ術を叩き込んだ。グッドシェイプになれば当然、動きにキレが出てくる。その体を手にしたロシア・ワールドカップ中断明けにゴールが量産されたのはうなずける。2年目の開幕前にその肉体を維持してきたのもうなずける。
ボールを握る攻撃志向のサッカーは、ジョーが望んできたもの。名古屋のスタイルに出会ったことが、意欲を勢いづかせた。
「僕は背が高いから、空中戦が好きと思われているのかもしれない。でも逆に、つなぐサッカーのほうが好き。グランパスだけでなく、Jリーグ全体としてサッカーが速いし、浮き球で勝負するところが少ない。アグレッシブなスタイルも僕には合う。もちろんグランパスのスタイルが僕には合っています」
仙台、G大阪戦の秀逸なゴール。
受けて、出して、動いて、決めて。
昨シーズン、降格圏内を抜け出す7連勝の幕開けとなったアウェーのベガルタ仙台戦(8月1日)、新境地を開くジョーのゴールは見事だった。左サイドに開いてボールを受け取ると、右サイドから中に入ってくる前田直輝の動きを見て、パスを出す。と同時に中に走り込んでいき、前田のヒールパスに右足を合わせた。
「ゴールのバリエーションが増えたと思っています。ガンバ戦の2点目も、印象深いゴールです」
止まって、動いて、外して、決めて。
仙台戦から4日後のホーム、ガンバ大阪戦では2点を許しながらも、ジョーが後半だけでハットトリックを達成して逆転勝ちを収めた。その2点目、和泉竜司が裏に抜ける前田の動きに合わせてパスを出し、中央にいたジョーは一度止まって相手の位置を確認。前田のパスを呼び込むように、ニアに動くと見せかけてファーでフリーとなって左足で流し込んだ。