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北川航也「まだ代表のレベルには」
清水で再び狙う代表と、欧州移籍。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/15 11:00
北川航也のアジアカップは厳しいものだった。しかし彼が代表に呼ばれるに値するFWであることも確かだ。
2018年に突然のブレーク。
ユースを経て2015年トップチームに昇格したのも必然だったが、そこからのプロの壁は厚かった。2016年にはJ2で9得点したものの、2017年までのJ1ではわずかに6得点と目立った活躍はない。ところが昨年、一気にリーグ13得点と大ブレークした。
理由はある。自身が「結果が出なくても継続する、ブレない姿勢」を大事にし、まずはここまで積み上げてきた結果だ。そのうえで、伸び悩みの解消へ「何か違ったことをしなければ」と、2018年シーズンを控えたオフ期間中に連日体を動かすなど『オフのないオフ』を過ごした。
さらに、チームの先輩であるGK六反勇治の熱心な練習への取り組み姿勢に刺激を受け、毎日の全体練習前に体幹トレーニングを取り入れるなど、自身でできる範囲の努力と変化を加えていった。
独特のプレースタイルも、若きエースの武器だ。
DFとしてリーグ草創期のエスパルス全盛期を支えたクラブの現内藤直樹強化部長は「相手DFを背にしてボールを受けながらも、次の瞬間に反転して鋭角に裏を取ってシュートまで持っていく。そこが北川の強みだし、そういうタイプの選手はJリーグでは他にいない。ボールを持ち上がる際の初速からマックスまでが速いから、相手DFは付いて行けないはず。さらに、攻撃から守備に移った際の帰陣の速さも魅力だと思う」と最大限に評価した。
6月の南米選手権、再び代表へ。
そしてブレークした最大の要因が、昨年7月のFWドウグラスの加入だった。
「いつも自分の動きを見てくれているし、良いボールを出してくれる」と話す北川にとってベストな相棒の出現で、2トップを組むドウグラスが初出場した第17節以降に全13得点中7得点を奪取。そのドウグラスとMF金子翔太とともに、クラブでは1998年以来20年ぶりとなる3選手揃っての2ケタ得点も達成した。
ところが相棒のドウグラスが、今季始動後に発覚した不整脈の治療のためブラジルに一時帰国中。2月15日に再来日したが、開幕戦をはじめ今季序盤の出場が危うい。
それでも「いないからダメだとは言われたくない。自分にとって新しい挑戦だと思う」と、新たな誓いで2019年シーズンを迎えることになった。
だが逆風とも言える相棒の不在にも、明確な目標がある。今年6月に日本代表が控える南米選手権への出場だ。そのためにも「前半だけで10得点は獲りたい」と、スタートダッシュを目指す。日本代表への継続した招集はもちろんだが、その先には欧州でのプレーも視野に入れている。