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北川航也「まだ代表のレベルには」
清水で再び狙う代表と、欧州移籍。
posted2019/02/15 11:00
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph by
Takuya Sugiyama
準優勝だった長いアジア杯での闘いを終え、日本代表の清水エスパルスFW北川航也(22)が2月4日チームの鹿児島キャンプに合流した。チームスタッフや選手、ひとりひとりにあいさつをして回り、今季初合流ながらこの日は全体練習には加わらず軽いランニングだけ。オレンジ色のユニフォームで迎える新しいシーズンを、ゆっくりとスタートさせた。
その様子を見守ったクラブ関係者は、「疲れも複雑な思いもあるだろうけど、ここからがほんとうの勝負だ」と、ややうつむき加減の若きエースを気遣った。
複雑な思いとは、言うまでもなく不完全燃焼に終わった日本代表でのパフォーマンスだ。アジア杯では5試合に出場し、決定機もあったが結局ゴールもアシストもなし。代表エースの大迫勇也(ドイツ1部ブレーメン)らと比較され、メディアもファンも厳しい評価を下した。
それを承知している北川も「まだ代表のレベルにはない。メンタルもフィジカルも、もっともっとレベルアップが必要だと思う」と、反省と自覚を自らに促した。
そして5日後の2月9日、ACL常連の韓国・FCソウルとの練習試合。今季国内初実戦で約65分出場した北川は、「まだ新しい選手と良い連係ができない」とし無得点で終えたが、相手GKの動きを見て約30mのロングシュートでゴールに迫るなど、代表選手らしい視野の広いプレーも披露した。
清水では岡崎以来8年ぶりの代表。
そもそも北川が全国区に名乗りをあげたのは昨年10月のこと。国際親善試合のために選出された日本代表メンバーにけが人が続出し、急きょ追加で日本代表に初招集された。あまり知名度は高くなかったが、その時点でリーグ戦11得点とランキング上位に位置し、日本代表の森保一監督は「結果を出している」と、まさに必然での招集だった。
清水のフィールドプレーヤーとしては、FW岡崎慎司(イングランドプレミア・レスター)が招集された2011年1月以来約8年ぶり。クラブでは久々の朗報に、地元メディアもサポーターも一気に盛り上がりを見せた。
とはいえ地元では、代表入りを当然とする声も決して少なくない。というのも、エスパルスのジュニアユース時代から頭角を現し、U-15日本クラブユース大会では得点王とMVPをW受賞。U-14から常に日本代表に選出され、同年代では頂点を歩んできた逸材。
当時を知る清水・下部組織の指導者たちも「スピードや得点感覚に優れた10年に1人の逸材だ」と太鼓判を押し、まさにトップオブトップの存在感を見せつけてきたからだ。