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J監督16年目、松本山雅では8年目。
反町康治監督のJ1残留計画に迫る。
posted2019/02/14 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE
J1リーグの開幕まで2週間を切った。2月の第2週には各地でプレシーズンマッチが開催され、松本山雅FCがJ2の大宮アルディージャと対戦した。
結果は0-2だった。'15年以来2度目のJ1に挑む松本が、昨年のJ2でホーム、アウェイともに勝利した大宮に今回は敗れたのだが、反町康治監督には織り込み済みの結果である。J1リーグ開幕から逆算してチームを組み立てていくと、2月9日時点で最優先されるのは結果ではない。
「大宮はJ1やJ2のクラブと、かなりゲームをやってきている。ゲームフィーリングは向こうが2枚ぐらい上だったかなと。我々はキャンプで根を詰めてやってきて、ハイパフォーマンスを出すのは期待できない状態。結果にこだわるなら45分で選手を交代させてもよかったけれど、ここまで90分単位で試合をやる機会はなかったので、ゲーム体力やゲームフィーリングなどを主眼としてこの試合を迎えました」
J2優勝でJ1昇格を決めた昨シーズンは、リーグ最少失点のディフェンスがチームの支えとなった。攻守の切り替えの速さと90分間を通したハードワークを両立させ、球際の攻防で激しく戦うスタイルは、クラブのベースとして緑色のユニフォームに沁みついている。
J1に初めてチャレンジした'15年は、16位でJ2に降格した。4年ぶり2度目のJ1では、残留が最初のハードルとなる。
「10点とる選手」の存在。
オフの移籍市場の動きは、控え目とも平均的とも言える。特徴を持った選手をJ1とJ2から集めたのは、選手を鍛え上げることに長ける反町監督らしい。その一方で、J1では育てながら勝つ余地が格段に狭まることも、指揮官は経験として理解している。
J2降格の憂き目に遭うクラブには、ある共通点がある。得点源となる選手を持つことができないのだ。得点源を「2ケタ得点を記録した選手」と定義すると、過去5シーズンに降格した14クラブのうち10クラブは、チーム内得点王が1ケタのゴール数に止まっている。
昨シーズンのJ1で最下位に終わったV・ファーレン長崎には、11得点をあげた鈴木武蔵(現札幌)がいた。'16年の名古屋グランパスでは、ロビン・シモビッチ(現大宮)が11得点をマークしている。そういったいくつかの例外はあるものの、2ケタ得点を望めるストライカーを確保することは、残留への必要条件と言って差し支えない。