ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
12球団唯一、海外でキャンプイン。
日本ハムがアリゾナに行く理由とは。
posted2019/02/02 09:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Kyodo News
空気やムードが一気に変わる。2019年の野球が始まる。
私は今、米国アリゾナ州スコッツデールにいる。2月1日に12球団で一斉にスタートする春季キャンプの対応が目的である。2年連続でアリゾナ・ダイヤモンドバックスのキャンプ地を使用し、米国では4年連続でのスタートになる。
1月28日、成田空港第2ターミナル。大所帯のため大きな別室を準備し、そこを目掛けて集ってくる。栗山監督らコーチングスタッフ、選手全員が球団指定のスーツ姿で勢ぞろいした。現地で合流する新外国人選手を除く、キャンプを一軍でスタートするメンバーが集結するのが、この日である。
昨年10月、クライマックスシリーズのファーストステージで敗退してシーズンを終了して、翌日に札幌ドームで2018年のチームは解散した。その後のオフには新外国人選手の補強、トレードなどを行い、今シーズンへ向けて激しく舵を切ってきた。久々の再会を楽しむような和気藹々という雰囲気ではなく、どことなく緊張感が漂っている。
栗山監督が強調する意義。
移動はチャーター便で、成田空港からフェニックス空港へと向かう。約9時間のフライトになる。搭乗ロビー前でセレモニーを終えると、続々と機内へと乗り込む。スーツから機内でリラックスできるジャージーなどへ着替える。
1年間、ファイターズをカバーする放送局の担当ディレクター、新聞社の担当記者らの多くも一緒に向かう。着陸が近づくと再度、スーツに身を包んでアリゾナへと足を踏み入れる。広報という身分でも、スイッチが切り替わる。
他球団または球界関係者の知り合いの方々から「どうして、アメリカまで行ってキャンプを張るのか」などと、その意義を問われることも多い。契機は、沖縄でのキャンプ地の名護市営球場が改修していることであるが、メリットは大きいと広報ながらにも考える。
長距離移動による肉体的負担、またもちろん経済的負担はある。そこを、デメリットとして捉える方々も少なくない。ただ前述した気持ちの部分もあるが、すべてがリセットされ、まっさらなスタートを切れるのだ。
栗山監督は「オレは好きなんだよね。アメリカでキャンプをする意味ってある。アメリカで、日本へ帰ってから……。やることが、はっきりしている」と話している。