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森保ジャパンはこんなに強かった。
イランを粉砕した本領発揮の理由。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/01/29 11:30

森保ジャパンはこんなに強かった。イランを粉砕した本領発揮の理由。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

前評判では劣勢との声が多数派だったイランを相手に、高い集中力、エース大迫勇也の得点、クリーンシートの完璧な試合運びだった。

イランの攻撃パターンを封鎖。

 両サイドからゴール前へクロスを入れ、セカンドボールを支配してさらにクロスを入れていくイラン得意の攻撃パターンは、ダブルボランチを含めたチーム全体の献身性によって封じることができていた。イランが失点を喫するたびに冷静さを失っていったことで、守備にかかるストレスが軽減されていったことも勝因にあげられるだろう。

 このまま2-0で終わっても十分だが、90+1分にダメ押しの3点目を奪う。それまで守備で貢献してきた原口元気が、ペナルティエリア左に侵入して左足でネットを揺らしたのだった。

 5連勝で準決勝へ辿り着いたにもかかわらず、森保監督の采配には疑問が向けられてきた。先発メンバーを入れ替えない、途中出場の選手もほぼ変わらない、総力戦と言いながら選手起用がそのとおりになっていない、といった指摘は試合のたびに厳しさを増していった。

 チームへ向けられる視線も厳しかった。準々決勝までの5試合はすべて1点差であり、しぶとく勝ち上がっているとの見方ができる一方で、強さを見せつけることができていないとの批判は絶えなかった。

 それだけに、攻守にスキのない戦いでイランを圧倒した準決勝は、森保監督と選手たちにとって復讐の叫びだったに違いない。オーストラリアのクリストファー・ビース主審による試合終了のホイッスルに、日本はこれまで封印せざるを得なかった歓喜を爆発させたのだった。

優勝してこそ、得られるものがある。

 ポゼッションスタイルにこだわることなくシンプルなタテパスも織り交ぜ、守勢の局面では割り切ってクリアも選ぶ戦いぶりは、ロシアW杯で形を帯びた柔軟性がチームを貫いていることを示している。

 リオ五輪世代や東京五輪世代を加えたチームで最多7試合を経験できるのは、アジアカップ後にもつながる財産だ。

 それでも、まだ何も得ていない。2大会ぶり5度目の優勝を勝ち取ることで、ここまでの戦いで得た自信に太く強い芯が通る。

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